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八話 ページ9

「………」






Aはあのあと土方の部屋で爆睡してしまい、現在の時刻は夜の11時を回っていた




「トシが起こしてくれればこんなことには…」


「……今日はここに泊めてやる」



「!でもここは女人禁止じゃないか、流石に泊まるのは悪いよ」



「……副長の権限使ってやらァ」



ズルいなぁ、とAが笑うと土方は薄く笑い立ち上がった



「え、どこ行くの?」



「……風呂。つーかお前どうすんだ?ここは男湯しかねェぞ」



「夜中、こっそりいい?」



「……おう。俺は今入ってくるがここから出るんじゃねーぞ」




うん、とAが頷いたのを確認すると土方は部屋から出ていった



一人になった部屋でAは考えていた





……最近トシに迷惑掛けすぎではないのか、と



友達でもなんでもない。トシは仲間だと言ってくれたけれどそれは友達ではない



それなのにあの人は自分に優しくしてくれている



その事実は嬉しいのだが自分はまだ何もしてあげられていない






「……何かトシが喜ぶこと」






うーん、と考えるがまだ出会って間もないAが分かる筈もなく困っているとピシャンと襖が開けられた





「わっ、ト、トシ…!早すぎるよ、まだ髪が濡れてるじゃないかっ…」



「………お前がここを出てねェか信用出来なかったからな」







Aは苦笑いをしながら土方の首に掛かったままのタオルを取ると土方のまだ濡れている髪を拭き始めた




「………怒らないの?」


「……いいからさっさと拭けよ」





そう言う土方にAは再び苦笑いをしつつ先程悩んでいたことを聞くことにした







「……欲しいものある?」


「……いきなり何だよ、何かあったのか?」



「……私は貴方に助けて貰ってばかりだから」






そうAが言うと土方は少し考えてから口を開いた







「……別にいいんだよ、んなこたぁ。……強いて言うなら仕事をしろ」



「……わ、分かった」




嫌な顔をしつつAは了承する



その言葉に土方は少し笑うとAの腕を引っ張り先程敷いて置いた布団に投げた


そして空いているAの隣に土方はゴロリ、と寝転がる




「え、トシ寝るの?」


「当たり前だろ、明日早えーんだよ」







仕方なくAは目を閉じるとAに背を向けて寝ている土方に抱き付いた




「……な、何してんだテメェ…」


「…落ち着く、トシ……」





そう呟いて眠るAに土方は呆れた




「……結局俺より早く寝てんじゃねェか」









そう真っ赤で呟く土方は眠れない一夜を過ごすのだった

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作者名:マピト | 作成日時:2018年4月14日 13時

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