二十四話 ページ25
「ご飯まで頂いちゃったなぁ……。じゃあ私はそろそろ帰るね!」
そう土方に告げて帰ろうとするAの腕を土方は掴んでいた
「?どーしたの?何か忘れ物でも…」
「……泊まってけよ。もう夜遅ぇし」
「……んー、でも私前も泊まっちゃたし……それに局長に怒られちゃうよ」
困った様な笑顔で言うAに土方は苛つきを覚える
「……お前、本当にアイツのことを上司と思ってんのか?」
「……え?」
土方は前から思っていたことを聞いた
ただの上司と部下なら『怒る』なんて表現はしないはずだ
どちらかというと罰とか処分とかそういう表現をするのではないか
そんなことを考えているとAはためらいがちに口を開いた
「……ううん、私と局長はただの上司と部下じゃない」
「………どういうことだ」
その質問にAは一瞬泣きそうな顔をすると、誤魔化す様に笑った
「えっと……家族みたいな感じだよ!総悟とトシみたいなさ」
その答えに土方は納得のいかない顔をしたが、深く追求するのはやめることにした
「………っいつ、か話す、から、今は話せ、ないっ」
そんなAの震える声に応える様に土方は無意識にAを抱き締めていた
抱き締めていると分かる
Aの体は震えていて顔は血の気が引いて少し蒼くなっていた
「………んなに怯えてんじゃねェ、今は話さなくていい、から。いつか俺に話せよ」
「………っ、うん、絶対、話すからっ!」
Aの目には零れ落ちてしまいそうた程、涙が溜まっていた
その涙を土方は指で掬うとAを安心させるように微笑んだ
「……お前は無理に俺に応えようとしなくていいんだ。辛い時は辛いって言え」
「………違う、辛くなんてない。嬉しいよ、私はトシに色々聞かれるの。私を知りたいって言ってくれてるみたいで……私を必要としてくれてるみたいで………」
「………そうか」
それ以上それから二人が何か話すこそはなく、ただただ抱き締め合っていた
いつの間にかAの目からは涙が消えていた
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作者名:マピト | 作成日時:2018年4月14日 13時