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二十三話 ページ24

「あ、起きたかい?」





土方が目を覚ますとそこはどうやら自分の部屋であった




そして浮上したばかりの頭を無理矢理起こし、先程のことを思い出せば土方は今すぐに死にたくなった






「………おい。さっきのことはすぐに忘れろ。いいな?」





そう土方がAに睨みを効かせて言うとAは耐えられないといった様に笑い始める





「……っあははははっ!!っトシってば女の子に慣れてないんだね、すごく意外……っ!」






目の淵に涙を溜めて笑うAを土方は人を殺せそうなほど睨み付けてからコホン、と咳払いを一つした





「……あれは、その、何だ?……そう。貧血だ、貧血で倒れちまったんだ」



「えっ、そうなの?マジか。だったら鉄分がたっぷりの物を食べた方がいいよ。それからあまりお酒を飲みすぎてはいけないからね?あと今日は……」



「分かった、そうする。だからあのことは忘れてくれ。……おら、さっさと飯に行くぞ」




その土方の申し出にAは納得のいかない顔をしたが土方の後に続くことにした



そして食堂に着くとAは唖然とした顔をしてからこれでもかと言うほど目を輝かせた




「う、わぁあぁあ〜!えっ、真選組ってこういうとこでご飯食べてるんだ。良いなぁ……」






その驚き様に土方は、エリート様は違ぇんだろうな、と皮肉を言おうとしたがやめた




考えてみればAは見廻り組に所属しているが今までエリート風を出したことはなかったし、ここを馬鹿にしたことはないのだ





「あ、おばちゃん!私ここを使うのは初めてなんだけどこれからは毎日使うからよろしくね!」




食堂のおばちゃんに挨拶をしているAを見ながら土方は先に飯を注文した




「あ、トシはカツ丼?私もじゃあそれで!」




満面の笑みで飯が乗っているお盆を見るAに土方は苦笑いを溢しつつ、Aの隣に腰を下ろした







「……ん、こんな美味しい物初めて食べた……良いねぇトシは毎日…」



「そうか?毎日だと飽きるがな」




そう言う土方にAは理解出来ない、と言うと少し寂しそうに笑った




「私はいつも味気無いご飯を食べてる、マナーとかルールを守って。それも大切だと思うけど私はこんな風に食べてみたかったから」






パクパクと飯を食べるAを見て土方はそうか、と言った




「ま、これからはここでトシと毎日食べれるし。いっか!」





嬉しそうに笑うAを見て土方もつられて微笑む







そんな二人を隊士達は妬みと恨みを籠めた目で見ながらやけ食いの様に飯を食べ進めていくのだった

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作者名:マピト | 作成日時:2018年4月14日 13時

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