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十五話 ページ16

「……何で最近来ねぇ」




鬼の顔をした土方にAはされるがままに腕を引っ張られ路地裏に連れていかれ、何があったのか、と問いただされていた





「……別に何でもないよ!もう、トシってば私だって一番隊隊長だよ?仕事だってあるさ」



そう誤魔化しながら笑うAを土方はジッと見つめる



居心地が悪いAは早くこの場から逃げたいが、土方に強く腕を捕まれている為に逃げられない





「……見廻り組で何かあったのか」


「……っ!」




その言葉にバッ、と勢い良く顔を上げると土方と目が合った







「……べ、つに何もない」


「……そうか、てっきり俺ァ最近江戸で起こってる見廻り組への当て付け連続殺人のせいかと思ったがな」



土方がスラスラと述べる言葉にAはみるみると顔を蒼くさせていく




「……何で、知ってるの」




黙っていた罪悪感、バレていたという絶望感、その二つが押し寄せてきて軽く目眩がしてくる



「……コッチにも優秀な監察がいるからよ」


「……私、が来なく、なったから?」


「ああ」








トシに近付き過ぎてしまった




そのせいでいつも来ていた私が来なくなり見廻り組に何かあったのかと勘づかれてしまった



私がトシと繋がりを持たなかったら…


こうなることもなかった




そうAが後悔をしているなか、土方は至って冷静にAに問い掛ける




「……後悔、してんだな。お前は」


「………っ私は見廻り組という組織が無くなったら困る、だから……」



「……じゃあテメェは組織の為に俺に近付かなくなるってことでいいんだよな」



「………っ」



「……俺が誰かに流すと思うか。事実、マスコミにも騒がれてねェだろうが!」




ここに来て初めて声を張り上げる土方にAは少し驚くと悲しそうに首を横に振った





「私とトシは敵なんだ。……私が馬鹿だったね、仲良くなっちゃって」



「……そうか」




そう言って背中を向ける土方にAはズキリと鳴る胸を抑える




「……捜査、頑張れよ。見廻り組一番隊隊長さんよ」



「……はい」









土方が居なくなった路地裏で一人涙を流すのは、紛れもないAであった

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作者名:マピト | 作成日時:2018年4月14日 13時

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