こいつら ページ6
あたしに「とりあえず俺らのとこ来なよ」と
誘ってくれた男の子は樹と言うらしい。
「……。」
「えっと、Aさんだっけ？」
「…うん。」
朝、自己紹介した時に大声で何か言った男の子。
「あ、おれ森本慎太郎でーす、宜しゅう宜しゅうー」
なんだか人懐っこそう。
「あ！抜け駆けずるいー！俺はジェシーだよー！」
1番背の高い男の子。
抜け駆けってなんだよ！と2人が戯れてると
樹が お前ら落ち着けって！と笑いながら止めている。
ふと視線を感じて目線を変えると
大人びた雰囲気の男の子と目線がぶつかった。
1、2、3…
何秒目が合っていたのか、男の子は視線をそらすと
「……俺先に行ってるわ。」
そう言って教室から出て行った。
「気にしないで、気ままなの、北斗は。
あ、俺は高地優吾です、みんなからはコーチって言われてる。」
そう言って手を差し出してきた男の子。
「…A緋織、呼び方は何でもいい…」
優しそうな柔らかな雰囲気に、少し安心して
差し出された手を握り返した。
「あっ！！コーチずりぃー！ちゃっかり手握ってる！」
ジェシーが指差しながら騒ぐ。
すると、突然腕を引っ張られた。
「あ！きょも！どこいくんだよ！」
樹が慌てて呼び止めると
「みんなうるさいんだよ、行こうよ早く」
真っ白い肌の綺麗な顔をした男の子が
めんどくさそうに言った。
「ごめんな、こいつらうるさいだろ？」
樹が駆け寄ってきて顔の前でごめんな？と
手を合わせてすまなそうな顔をした。
「こいつらってなんだよー樹もじゃんー」
「そうだよ1人だけ逃げようとかー！ずるー！卑怯ものー！」
「お前らは特に声がでかいんだよ」
「あっコーーチーーー！」
「コーーチーーー！」
「なんだよ！人の名前叫ぶなよ！」
横にいた樹がため息をつくと、もー！と言いながら
ジェシーたちのところに行く。
お前ら静かにしろ！と笑いながらお説教する樹を
いつのまにかあたしの腕を離していた綺麗な男の子が
「結局樹もうるさいじゃん」と冷やかした。
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
