孤高のアネモネ【HokutoMatsumura】 (ページ5)

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side 慎太郎ページ5

「転入生のAだー女子だからってお前ら騒ぐなよー」

先生の声と同時に壇上に上がった女の子。

女の子が教室に入ってきた瞬間、
みんながその子に釘付けになった。

多分規定より短めのスカート、
シャツのボタンも２個開きで、
袖を肘くらいまでたくし上げている。

細く長い足に白い肌、
スタイルのいい女の子。

だけど何より。

みんなが釘付けになったのはそこじゃない。

胸くらいまであるストレートの黒髪はすごく艶やかで
かき上げた前髪がゆっくり落ちてくる様子は
色っぽい雰囲気をさらに増殖させる。

大きな目に鼻筋の通った高い鼻、
透き通った真っ白な肌に赤い唇。

俯く彼女のまつげは長く、小さな羽根みたいだ。

彼女はゆっくり顔を上げると
静まり返った教室に

「A緋織、よろしく。」

そう言った。

人より色素の薄い茶色の瞳は、
何もかもを見透すような綺麗な色で。

「えっ！挨拶短っ！」

やっと出た言葉。ちょっと声裏返っちゃったけど。

それから先生は教室から出てったけど、
そんな事よりみんなの視線の先は
相変わらず女の子に向けられていた。

そりゃそうだよな、あんな綺麗な子。

制服の着方とか綺麗な瞳で放つ鋭い視線とか
全然大人しい感じはしなくて。

だけど彼女から醸し出される雰囲気は
どこか気品があって、簡単に触れてはいけない空気を感じる。

やっと午前の授業が終わって待ちに待った昼休み、
騒ぎになってる教室で俺は樹とジェシーと
彼女を観察することにした。

すると昼休みになって少し経った頃

ちょっとイライラしてきたのか難しい顔した彼女。

俺たちは顔を見合わせどうしようか迷ってたら

「ちょっと俺、行ってくるわ。」

樹が席を立って女の子に話しかけに行った。

「何、樹行ったの？」

大我もやってきて、その後ろに北斗も無言で
様子を伺っている。

そして。

「な、この子も一緒にいこーぜ」

ちょっとしてから戻ってきた樹が
後ろの女の子を親指で指しながらニコッと笑った。