午前の部 ページ16
高「緋織、まだ拗ねてるの？」
「だって…」
樹「緋織めっちゃ似合ってるよ？」
「うぅ…あたしだけこんな格好、恥ずかしすぎる！」
開会式が終わり、最初は慎太郎の出る100m走。
慎太郎以外のみんなで応援席に陣取っていると
俯きがちなあたしを見てコーチと樹が声をかけてきた。
着せられたのは、ノースリーブのトップスとミニスカート。
赤と青と白のデザインで、スカートはプリーツ。
そして両手にはゴールドのポンポン。
ジ「ちょっと緋織！チアダンスやってみてよ〜！」
「踊れるわけないでしょ！！！！」
き「チアダンスってどんなのだっけ…？」
樹「飛んだり足あげたりするよね？」
高「足あげって北斗が得意なやつじゃん」
北「いや、俺のは空手だから」
「もう！みんなして！本当に恥ずかしいんだから！」
ジ「HAHAHA〜！でもマジで似合ってるよ？マジで」
樹「そうそう！これで応援してくれたら俺らまじで頑張る！」
き「今年も優勝かな？」
高「まあほぼ北斗と慎太郎の活躍だけどね」
"200m走出場選手は入場門に集まってください"
北「あ、俺だ」
樹「おっ頑張って北斗！」
ジ「大丈夫、また来年のシード取ってくるから！」
高「いやお前じゃねーんだよ！？」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ3人は置いといて、
入場門に向かう北斗を追いかける。
「北斗！」
その背中に声をかけると、北斗は振り返って
ん？と顔だけをあたしに向けた。
「頑張ってね！」
北「なに、わざわざそれ言うために来たの？」
「なーに、だめだった？」
北「…ポンポン振って応援しといて、チアさん」
「あ！ちょっとバカにした！」
そう言うと、北斗はあたしの方に近づいてきて
少し身をかがめると、あたしの耳元でこう言った。
北「それ、ほんと可愛いよ？緋織」
いつもの北斗と違う甘い声に
体中が熱くなる。
北斗はそんなあたしを見てニヤっと笑うと
あたしの頭に手を置いて「行ってくるわ」と言った。
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
