学園の王子様が毎日図書室にやって来る件。【文スト】

25冊目 ページ25

太宰視点

やっだ、言える、私、
Aさんに___________________________














「私の好きな人は_______」














言おうとしたとき、口に手重なる。


Aさんの手だった。
彼女に、口を塞がれてる。














Aさんは、下を向いてるから、
どんな表情をしているのか分からない。














「Aさ、」

『ごめん』

「え………」















『ごめん、聞きたくない』














そういうと彼女は、手を離して、
教室を去っていった。














〜『ごめん、聞きたくない』〜


どういう意味だろうか？

それは、私でも分からなかった。

＊＊＊
A視点

思わず、彼の口を塞いだ。














彼から私の名前が出るのが怖くなった。

彼から私以外の名前が出るのも怖くなった。

太宰君が何を言うのか、誰の名前をあげるのか、
怖くなってしまった。














『ごめん、聞きたくない』














手を離し、速足で教室を去る。



私、最低だ。私、最悪だ。














折角、話そうとしてくれていたのに。


〜『ごめん、聞きたくない』〜


そんな言葉を発した後の太宰君の顔が、
チラリと見えた。

その時、太宰君顔は、

とっても悲しそうで、寂しそうな顔。














その顔を思い出すと、
不思議と涙が込み上げてきた。

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