学園の王子様が毎日図書室にやって来る件。【文スト】

23冊目 ページ23

A視点

『…私は、殴られるの痛かったです』

「っ、本当にごめんなさい」

『暴言も辛かったです。
だから悪いのは貴女たちだと思います。

でも……許さないとは思いません。
一途な人って、本当に素敵だからです。

今回は、それが空回りしただけで』














更に、私は続けた。














『でも、こんなことを2度としないで下さい。
誓って下さい。

暴言も暴力も良い物ではありませんから』

「はい…」














気まずそうに女子生徒達は去っていった。


『「………」』


そして、残されたのは、私と太宰君の二人きり。














〜「太宰君が好きなのは、貴女だったわ。
______________森川A」〜

気まずいよ、誰か助けて。


＊＊＊
太宰視点

Aさんが言えば、彼女達は気まずいに帰る。














やはり、Aさんは優しい。


暴力も暴言もふられたのに、許すのだから。


本当に、好きだなと感じる。














「『………』」














私達は、言葉を交わさなかった。


Aさんは、彼女達が出ていった扉を見つめ続けていた。



　












「A………さん、」

『何ですか？太宰君』














名前を呼んでも、彼女は振り向かない。














「……何でもない、名前呼びたかっただけ」



そうだけど、そうじゃない




『そうですか…』









そしてまた、沈黙が流れる。

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