#11 兄は愛が重い ページ11
***
『貴方は元マフィアで知らないと思うけど……、
いや……ほら、自然とそうなるんだよ』
「それを聞いている訳じゃないのだよ。
まずね、彼氏かって聞いてるの」
怖い。本当に久々過ぎるのもあって怖い。
「ねぇ、私言ったと思うのだけど。
好きな人が出来たら、彼氏候補がいたら、
まず私に会わせろって。言ったよね?
恋愛することに関してはAの自由だよ。
勿論彼氏を作ることも。本音は嫌だけどね。
別に自由して構わないって言ってるんだから。
一緒に帰る前に私に言いなよ。簡単でしょ?」
早口すぎて何も頭に入らない。
自由にしていいって言うのなら、態々こんなことをしないと思うのだが………。
そもそもあの子は好きな子じゃないから……。
話し掛けられただけだから………。
『あの人は彼氏でも好きな人でも無いよ』
「は?じゃあ何で一緒に帰ってたのさ」
『あの人が一緒に帰ろうって言ったから。
私がコミュ症なの知ってるよね。
“私のお兄ちゃん”なんだから』
しれっとこうやって混ぜるのが一番効くと、
私は知っている。
思惑通り、あの圧強めの真顔からみるみる心の底からの笑顔へと変わっていく。ちょろいな。
「嗚呼、無論知っているとも!!
私は、Aのお兄ちゃんだからね!ふふっ」
余程嬉しかったのか、ジャンプまでしている。
私は普段と変わらぬ生暖かい視線を向けていた。
「ていうか、何で断らなかったのさ?」
『楽しそうに帰り誘われているそんな状況で嫌って言える方が謎だと思うけど』
「まァ、それもそうだね!」
兄は私に抱き付いた。邪魔だ。
まぁ、兎に角機嫌が直って良かった。
「今回はAに意識あったから良しとしようか」
意味ありげな言葉を告げた後。
「でも、彼氏や好きな人ができたのなら。
そいつの情報や感じること全部言ってね?
……………分かった?」
あまりにも最後がガチのトーンすぎる。
嫌だ。絶っっっっっ対に嫌だけど。
『……………………うん……?』
頷く他思い当たらなかった。
私という妹を愛するあまり、その愛が重すぎると思う。
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新・太宰の包帯希望者 - 完結おめです!作者様の小説神すぎてもう明太子になりそうです)))前の端末壊れたのでここで書きますね!様々な面で頑張ってください! (4月9日 12時) (レス) id: 510377e956 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - 敦くんのほうの話でもコメントさせていただいたんですけど、本当にそこら辺の壁さんの作品は見るのが楽しくて、私の癒やしでした。最後まで面白い作品をありがとうございました。もし帰ってこられたら、またそのときは読みたいと思います。 (4月8日 18時) (レス) @page29 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!そして数々の神作品をありがとうございました!!またいつでも書いてください!!絶対読みます!!! (4月8日 18時) (レス) @page29 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 6枚切りさん» いえいえ〜!気にいって頂けて良かったです!ありがとうございました! (3月29日 6時) (レス) @page16 id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
6枚切り - そこら辺の壁さん» ありがとうございます!!最高でした😭🙏また機会があればお願いします!!! (3月28日 14時) (レス) id: ef31847629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月16日 9時