恋して 15日 ページ15
***
ズラリと並ぶ、どれも美味しそうな料理。
「ほ、本当に良いんですか………!」
『どうぞ』
「っいただきます!」
僕は箸をとり、次々と食べ進める。
どれもお店を開ける程に美味しかった。
「あの、すっごく美味しいです!
今まで食べた中で一番美味しいです!」
『それは良かった』
嬉しそうに微笑んで、Aさんも気品のある動作で食べ進めていた。
チャンスは今しか無いと思った僕は、
箸を一度置き、Aさんに向き直る。
『…? 如何したの、改まって』
「否、あの、その………」
断られないだろうか、嫌われないだろうか、
引かれないだろうか、大丈夫だろうか。
不安が不安を繋いでいく。
____「Aさんは、後輩が折角誘ってくれたのに、断る様な人じゃありませんわ」______
ズボンをぎゅっと握り締めて。
勇気を振り絞る。
「あの、Aさんって、映画好きですか!」
あまりに突然だったのか、流石の彼女もカチリと固まってしまった。
『えい…………が?』
「え……あっ、いや、すみませんいきなり。
全然、嫌だったら断って貰って大丈夫で……っ」
少しの間ポカンとしてから、Aさんはまた笑う。
『ふふ、いや、ごめんね。
いきなりで吃驚しちゃった。映画は好きだよ』
よし!第一関門突破!
あとは、誘うだけ…………。
「あの……僕、ずっと孤児院暮らしだったので、
映画って行ったことないし、見たことなくて……。
だから、その………よ、良かったら…!
一緒に………行きま、せんか…………?」
最後は途切れ途切れで格好悪くなってしまった。
緊張していつの間にかAさんを見ていなかった。
恐る恐る目を合わせれば。
『喜んで』
そう返事を告げた。
心からぶわっと暖かい何かが溢れてくる。
本当に嬉しくて、涙も出てきそうだ。
『いやー映画なんて久々だな……』
楽しそうに独り言を呟くAさんを見て、
安心もする。
「あの、ありがとうございます」
『此方こそ。映画、楽しもうね』
「はい!」
***
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推し丸様☆(プロフ) - 敦くんの話、最後まで良かったです!読むのがすごく楽しかったです!作者さんが活動休止、辞めるということはさみしいし、とても悲しいですけれど、最後まで連載、無理しない程度に頑張ってください!ずっと応援しています! (4月7日 21時) (レス) @page32 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
waka(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主様がお休み?になるのは寂しいですが、もう一方の連載も頑張ってください!!!楽しみにしてます!!お体には気をつけて!! (4月7日 20時) (レス) @page32 id: 140287e0ee (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - 推し丸様☆さん» いえいえ!此方こそご許可ありがとうございました!お互い、頑張りましょうね! (3月29日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
推し丸様☆(プロフ) - そこら辺の壁さん!宣伝ありがとうございます✨もっともっと、楽しいなと思っていただけるよう頑張りますので、どうかあたたかく見守っていただけたらと思います!(*˘︶˘*).。.:*♡ (3月29日 21時) (レス) @page20 id: a7c7bf6202 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の壁(プロフ) - wakaさん» コメントありがとうございます!時々waka様にはコメントをいただけて、凄く励みになっております!これからも応援よろしくお願いします! (3月20日 21時) (レス) id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そこら辺の壁 | 作成日時:2024年3月15日 21時