Battle_456 ページ15
「泣くなよ〜もう…」
拭いきれないんだけど、と少し笑い混じりの声があたしの鼓膜を揺らす。
「ごめん…ほんとごめっ」
「黙って」
謝罪の言葉を紡ぐあたしの唇を塞いだのは、神威の人差し指。
「次謝ろうってんなら、ちゅーしちゃうぞ」
「ちゅ…っ?!」
目を見開いたあたしを見て、「百面相だネ」とまた笑う。
「何顔真っ赤にしちゃってんのさ〜」
「だっ、だって神威がっ!」
「ちゅーする、なんて言ったから?」
「〜〜っもう!」
『ちゅーするぞ』の色気が…双子の兄のはずなのに…あたしに色気備わってないのに…っ
こんなときだけちょっと低めの声使ってくるのズルくない?ねぇズルいよね?
.
「ほら、泣かないでよ。
泣いて謝られるほうがきつい」
「神威がそんなこと言うから涙なんか引っ込んだし…!」
「ならよかった。
Aがこれで泣きやんでくれるなら、俺は何回でも言ってあげる」
「何回も言ったら価値なくなっちゃうよ」
「お前……お兄ちゃんに辛辣だね…」
わざとらしくヘコんだ素振りをする神威を見てたら、終いにはふふっと笑い出してしまった。
神威もくすり、と笑みを漏らして。
「あはははっ」
「はははっ」
.
.
河原に響く、2人の大きな笑い声。
それを聞いているのは、桃の木々たちだけ。
.
.
「やっと、笑ってくれた」
「うん…ありがとう」
やっぱり神威はどんなときも結局あたしのことを助けてくれる。
「最後に見るならAの泣き顔じゃなくて、笑顔がよかったから。
笑ってくれてよかったよ」
.
.
……え。
.
.
「さ…最後……?」
心の奥がスゥー…っと冷えた。
.
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ての(プロフ) - ほんとにほんとに初めから最後まで素敵なストーリーで定期的に全て読み返しに来てしまいます!今もなお修正などこの作品を大切に残して頂けて嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年3月12日 17時) (レス) id: 892b9edcae (このIDを非表示/違反報告)
レミリア - 内容が、ヤバイぐらい、キュンキュンしてた(//>∀<//) (2019年7月15日 0時) (レス) id: 16253bb5bd (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 最高でした!終わるのが悲しいです.. (2018年11月24日 15時) (レス) id: e8f3408ea6 (このIDを非表示/違反報告)
〇 - カイなのかリクなのかソラなのか、ごちゃごちゃになってますよ! (2018年6月15日 2時) (レス) id: 9c5cfdf043 (このIDを非表示/違反報告)
琴菜 - 面白かったですっ!お疲れ様でした! (2018年2月26日 3時) (レス) id: e179cd3389 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひより | 作成日時:2015年11月28日 15時