Battle_434 ページ27
阿伏兎は少し、目を丸くして。
やがて、「何だってんだよこん畜生」と笑った。
そうこうしてる内に、母艦にたどり着いて。
乗り込めば、途中で阿伏兎が「…なあ」と若干気まずそうに口を開けた。
「良かったのか。
Aとちゃんと話しねェで」
ああ、そのことか。
外出用のマントを脱ぐ。
「さっきも言っただろ。
俺はそんな話する気分じゃないんだ。これは本当」
「これ“は”?」
…しまった、余計なこと言い過ぎちゃったや。
.
でもこの際、1を漏らしてしまえば10を漏らしても同じか。
いつの間にか周りに人はいなくなってて、俺たち2人だけ。
甲板に出て欄干にもたれかかる。
阿伏兎も無言で後ろについてきていた。
.
.
「阿伏兎。
俺がAと話すのを避けたのは、俺自身があいつから答えを聞くのが怖かったからだ、って言ったらお前は失望する?」
ひゅるり、と冬の夜風が頬を身を撫で回した。
阿伏兎は何も言わず、どんな感情も表に出さず、ただ俺を見つめていた。
「告白したときは必死で、Aと俺が結ばれることはあり得ないことにどうしようもなく憤って、勢いで言ってしまった。
でも今になって、俺は18年間の関係を壊すようなことをしてしまったことに気がついた。
俺の支柱が1本抜けてしまうかもしれないと思うと、どうしようもなく怖くなっちゃったんだ。
今さらだなんて、馬鹿だなとは思ったよ」
「アンタは…後悔してんのか」
後悔?
「後悔か………ない、とは言い切れない。
でもほんの僅かしか後悔してないさ」
そう。
後悔の念は不思議とほとんど湧いてこなかった。
俺の答えを聞い途端、阿伏兎の表情がふっ、と柔らかくなった気が…する。
.
.
「俺はそんぐらいでアンタに失望したりはしねェよ。
寧ろ生身の生き物だっつー感じがひしひしと伝わって安心したさ」
それに…と続けて、
「安心しろ。
アンタには勤務態度とかのほうがずっと失望してらァ。
団長。
人生は選択肢の連続だ。
時にゃ選択を間違えるときだってある。
だがな、自分のした選択に後悔してなかったら、例えどんな選択だったとしてもそれはソイツにとっての正解なんだろうよ」
「……」
「今さら少し体裁とか気にしてんじゃねぇよ、すっとこどっこい」
.
.
「…そうだネ」
.
.
少し、ほんの少しだけ。
桃の季節が楽しみになった。
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銀魂☆☆☆☆☆ - すごいキュンキュンします〜〜〜!!!!! 空知先生とひよりさんが神様にみえます。この作品大大大大大好きです!! (2016年3月11日 16時) (レス) id: 4ecdf1b2ff (このIDを非表示/違反報告)
総悟大好き! - 次の章まで行ってください!喜んで読みます!! (2015年11月29日 16時) (レス) id: eae230a3f8 (このIDを非表示/違反報告)
aya - 次の章行くんですか!?めっちゃ楽しみだし、うれしいです!がんばってください! (2015年11月28日 11時) (レス) id: 5abee972a9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 1番初めの章から読まさせていただきました!もうキュンキュンが止まりません!(*pωq*)ずーっと読んでたいです(*pωq*)次の章も絶対絶対絶対読みます!(*゚v゚*)頑張ってください応援してます(*゚v゚*) (2015年11月28日 0時) (レス) id: 268b1d3fe1 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 次の章いくんですか!?嬉しいです!!!この小説が私の毎日の楽しみなので!!応援しています!! (2015年11月28日 0時) (レス) id: fafd5c8065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひより | 作成日時:2015年9月7日 23時