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◇
試験を１週間後に控えたある日の午後、いつも通りに医務室の手伝いを終えたAが歩いていると、１つの教室から誰かのすすり泣くような声が聞こえた。
『クィレル先生だわ』
サッと周囲を見渡して誰も近くにいないことを確認すると、Aは扉を開けた。
「私には、私には……出来ません」
うずくまってそう言っているクィレルに近付いた。クィレルがハッとして目を上げる。
『こんなところで、どうしたんですか』
「出ていってくれ、お願いだから。」
クィレルの目は恐怖で染まっていた。Aは側にしゃがみ込むとその目を覗き込んだ。
『あなたのご主人は、ご立腹のようですね。』
「お前に何がわかる」
『さあ、でも色々知っていますから。』
顔面蒼白なクィレルをじっと見据える。彼は震える唇をやっと動かしてささやいた。
「私に近付かない方がいい、あなたの為だ。」
Aは目を丸くした。目の前の人物はAの身を案じ、忠告したのだ。一瞬だったけど、彼の本心が垣間見えた。
『クィレル先生、私は＿』
Aはそこで、ハリーが近付いてきている気がして立ち上がった。
『私は
Aは踵を返し、反対側の扉から出ていった。
・
数分後、教室を覗き込んだハリーはクィレルが何者かと話すのを聞いた。
そして中を覗き込んで開いている反対側の扉を見て、スネイプがクィレルを出し抜いたんだと思うのだった。
◇
ハリーたちが罰則で禁じられた森に行くことを阻止はできないし、Aは参ったなと思いつつも見過ごすしかなかった。
罰則を受ける夜、城の影に隠れてフィルチに連れられている４人を見ていると、不意に横に人が立った。
『先生。心臓に悪いです。』
ダンブルドアを横目にAが言うと彼も口を開いた。
「Aに折り入って頼みがあってのう。儂の代わりにこれを、届けて欲しいのじゃ。」
「ああ、合言葉はカプ・ドラコニスで通る」
唐突になんだ、と思って彼の手に持つものを見るとAは驚愕した。透明マントだ。
『先生、これ、内密にすべきなのでは…』
「もちろん内密じゃ」朗らかに言う。
「実はこの後すぐに魔法省に行く必要があるのでな、明後日までは帰って来れぬ。頼むぞ」
ー今この後すぐって言いました？この人
固まったAが慌てて静止の声をかけようと口を開けたが、ダンブルドアはもうその場にいなかった。
その後Aは四苦八苦してハリーの寝室にマントを運び、自室に戻ったあと疲れてベッドに倒れ込むのはまた別のお話。
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ぴの(プロフ) - ちょこちっぷさん» あわわ…ホグワーツと打ってるつもりでした…気付かせてくれてありがとうございます<(_ _)> (2020年12月1日 11時) (
レス) id: 89db1ed5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこちっぷ(プロフ) - ホグワークでは無くホグワーツです！！とても楽しく読ませていただいてます！ (2020年12月1日 8時) (レス) id: 57e1b6101b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - ツーノさん» 本当ですか！とても嬉しいお言葉ありがとうございます (2020年11月20日 12時) (レス) id: 89db1ed5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ツーノ - 今までの小説とは違う新しい展開でワクワクします！ (2020年11月20日 0時) (レス) id: 6528c03767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴの | 作成日時：2020年11月4日 21時
