【北極行き片道切符】 ページ6
「アリスの幸せはフィクルグルーバーが保証する。
彼と人生を歩むことに何の不安があるというのかね？」
金もある、地位もある。何より未来がある。
あんなに大事にされていて、彼女も不服な訳が無い。
寧ろあの娘にフィリックスは勿体無いほどだ。
スラグワースは当たり前の事を言うように言葉を続けた。
「君にそれ以上の”恩返し”が出来るとでも？」
「どうでしょう。やってみないと分からないですね」
「……戯言を」
「……分かりました。彼女が必ず幸せな人生を送れるというなら、それでいいです」
ボソッとスラグワースが何か呟いたが、ウォンカが聞き返すことは無かった。
それから少しの猶予を貰い、荷物をまとめる為に宿へ戻る。
部屋の壁には、ヌードルに習った文字が並んでいた。
その中でも、ひと際面積を占めている文字。
「……アリス」
彼女の名前を呼ぶ。少し身体が温かくなったような気がした。
彼女の名前をなぞる。同じようにメッセージカードをなぞりながら素敵な笑みを見せた彼女を思い出して、ずっと一文字だった唇が僅かに緩んだ。
重い足取りの中、最低限しかない荷物を背負って波止場に向かう。
ヌードル、アリス、みんな、ごめん。
心の中で謝りながら、仲間たちみんなが幸せに暮らすことを切に願った。
真っ暗な波止場に人影が三つ。その中の一人が警察署長という事は、フィクルグルーバーは結局戻っては来なかったようだ。
上機嫌なスラグワースから「北極行き片道切符」を受け取る。
プレミアムエコノミーとか何とかとプロドノーズがあれこれ言っていたが、あまり頭の中に入ってこなかった。
最後の最後にスラグワースに握手を求められ、それに応える。
以前と同じように、骨が砕けそうになる固い握手。
それから、船に乗るよう促された。
ウォンカは顔を歪めて、掌の痛みと共に渡し板をとぼとぼと歩いていく。
船長に切符を渡して、船に乗り込めばすぐさま汽笛が真っ黒な海の中に響いた。
振り返ろうとして、寸前で止める。未練や後悔で爆発しちゃうんじゃないかと、怖くなった。
彼の足はずんずんと無心で船の中央に向かう。そこには「プレミアムエコノミー」と書かれた、とてもシンプルなベンチ。
流石に海の上は寒い。寒さに身を縮込ませながら、優しく寄り添う星明りを見ていた。
その光にやっぱり彼女を思い出してしまう。
吐いた白い息が昇って行って……天に届く前に消えていった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます！そしていつも最高のお言葉ありがとうございます！最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた！やったー！番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました！ (3月4日 5時) (
レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした！こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません！またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます！一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました！❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました！🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます！ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……！と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……！むめさんの命が助かって良かった……！私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年2月12日 21時
