【おかえり、ただいま】 ページ32
告解室の扉が開くと、全身にチョコレートを纏ったどろどろの二人が出てくる。
彼らが一歩歩くたびに大聖堂の床には綺麗な茶色の足跡が点々と残った。
アリスの瞳が揺れる。今日一日で身体中の水分を涙に変えてしまったのではないかと思うくらい、ずっと潤みっぱなしだ。
ウォンカとヌードル。二人も彼女の存在に気付いて、両手を広げて駆けてくる。
出迎えるようにアリスも手を広げれば、真っ先に彼女に抱き着いたのは……ヌードルだった。
アリスがギュッと彼女を抱きしめ返せば、心から安心した笑みを浮かべるヌードル。
上物のワンピースにチョコがトッピングされるのを、誰も気に留めない。
「アリス！」
「ヌードル……無事でよかった」
こんな小さな体であんな目にあって怖かったはずだと、アリスは彼女の髪をあやす様に優しく撫でる。
よく頑張ったね。ありがとうね。
アリスが声を掛ける度に、ヌードルはくすぐったそうに頬を緩めた。
微笑ましいやり取りだったが、そんなヌードルの目に奇怪な光景が映る。
視界に入ってきたのは傍両手を広げたまま、中途半端な格好でぴたりと止まっている男の姿。
表情も何とも言えない笑顔を固定し、アリスと自分を見つめていた。
思わず二度見し「あ……」と漏らせば、アリスもそれに気がついたようだ。
可笑しそうにクスクス笑う彼女はヌードルから離れると、今度は両手を広げる男の胸に飛び込む。
「わっ！？」
「ウィリー！おかえりなさい！」
「……ただいま、アリス」
勢い余ったアリスをウォンカがかかえて、踊るようにくるくる回る。
それから自分の腕に閉じ込める様に彼女を掻き抱いた。
ようやく自然な笑みを見せる彼にヌードルは「単純」なんて思ったが、同時にそんな二人を見て幸せな気持ちも沸き上がった。
だってこんなにはしゃいだアリスの笑顔、見たことが無い。
巡り会い、苦難を越え、少しずつ近付いた二人の世界。
彼は王子様なんて柄じゃないけど、それでも確かに、御伽噺を読んでいる様なときめきを二人から感じた。
王子様どころかチョコまみれだけど。いまいち恰好つかないのも彼らしいか。
ヌードルは熱の込められた視線で見つめ合う二人へ、申し訳なさそうに緑の帳簿を差し出した。
「うん、分かってるよヌードル。舞い上がるのはもうちょっと後にとっておこう」
パッとアリスから離れた彼は、表情を切り替えて大聖堂の外へと目を向けた。
頷いたアリスもまた、覚悟の色を瞳に抱いている。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます！そしていつも最高のお言葉ありがとうございます！最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた！やったー！番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました！ (3月4日 5時) (
レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした！こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません！またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます！一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました！❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました！🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます！ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……！と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……！むめさんの命が助かって良かった……！私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年2月12日 21時
