【時間切れ】 ページ29
フィクルグルーバーになど目もくれず、冷酷な睨み合いを続けるスラグワースとアリス。
だが、硝子床の方から再びドンドンという打音が聞こえれば、彼女は慌てて直ぐにそちらへ駆け寄った。
もうチョコの波は口元ギリギリまで来ていて、ヌードルが深呼吸をして目をぎゅっと閉じる。
ウォンカはアリスに向かって何か言いかけたが、彼も同じように大きく息を吸ってチョコの中へと沈んでしまった。
―――硝子板は一面を茶色に染め、二人の姿は完全に見えなくなってしまう。
「そんな……」
深い悲しみと絶望。輝いていたはずの世界から光が消える。
力無くその場に崩れ落ちるアリス。
己の無力さに冷たい涙が頬を伝って落ちた。
心を八つ裂きにされて、そこから怒りや恐怖や様々な暗い感情が溢れ出す。
いっそ自分も硝子床の向こうに居れたら良かったのに。
そしたら一緒に……そんな悪い考えさえ過ぎってしまう。
「暫しそこで自分の行動を顧みるといい。頭が冷えれば、馬鹿な考えだったと思い知るだろう……もう手遅れかもしれんがね」
蔑むような視線をアリスに送って、スラグワースは大聖堂を後にしようと歩き出す。
ショックで壁に寄り掛かったままのフィクルグルーバーへ肩を貸すプロドノーズ。
“アリス”から“貧乏人”という言葉が出てきたのが余っ程応えたのだろう。
二人もスラグワースの後に続いてよたよたと大聖堂から出て行った。
再び、大聖堂に静寂が訪れる。
独り残されたアリス。その場から一歩も動こうともしない。
ぼろぼろと大粒の涙が瞳から落ちていく。
何処で選択を間違えた？何処からでもいい、やり直させて欲しい。
二人の名を叫びながら、震える手で何度も床を叩く。
世界から色も、音も、何もかも失われてしまった。
もはや痛みも感じない。生きることへの希望さえも。
何も、考えられない。何も、受け入れられない。
抜け殻のように、そこにあるだけの風景に留まった。
現実を拒絶するアリス。そんな彼女は自らに起きている事象にさえ気付けない。
普通の人間よりも小さな足音が、彼女の元へ近付いてきているのに。
「すまないお嬢さん。傷心の所、悪いのだが手を貸しては貰えないだろうか？」
彼女を残酷な現実に呼び戻したのは、ほぼ床に近いところから聞こえる紳士の呼び声。
ぐちゃぐちゃの顔を上げれば、目に入ったのは―――
オレンジ色の肌とキラキラ光る緑色の髪を持った、小さな男だった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます！そしていつも最高のお言葉ありがとうございます！最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた！やったー！番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました！ (3月4日 5時) (
レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした！こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません！またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます！一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました！❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました！🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます！ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……！と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……！むめさんの命が助かって良かった……！私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年2月12日 21時
