【訣別】 ページ28
スラグワースの眉がぴくっと顰められた。
タンクのチョコは彼らの顎の辺りまで注がれている。
アリスが再度力の限り床を叩くも、右手が赤くなって痛みが増えるだけ。
「貴方たちなんかと肩を並べるくらいだったら、あんな店もう要らない!
グルメガレリアが何よ!高級レストラン?フィクルグルーバー社?
そんな肩書きでしか評価されないのなら、そんな店願い下げだわ!」
アリスが吐き捨てると、フィクルグルーバーの顔が段々と青白くなっていく。
もう彼女を抑えつけるものは何もなかった。
綺麗に着飾って静かに微笑むだけのお人形さんごっこはもうおしまいだ。
やっと自分の人生を愛せると思ったのに、これ以上その邪魔をされたくない。
天命に抗い、長きに渡った苦難と訣別する時が訪れたのだ。
「アリス、自分で何を言っているのか分かっているのか!?
今までの時間がすべて無駄になるんだ!君は大人しく―――」
「無駄なんかじゃない!今までがあったから、ウィリーが私を見つけてくれた!」
フィクルグルーバーの言葉を遮って、アリスが叫ぶ。
もう何を言っても無駄だと悟ったスラグワースが面倒くさそうに肩をすくめた。
頭を抱えるフィクルグルーバーの肩を慰めるように肩を叩くプロドノーズ。
そして次なるアリスの行動で、更に彼の顔の血色が悪くなった。
「では、君の父君に最後の挨拶でもしに行くとしようか。
哀れ夢見がちな小娘の間違った選択のせいで、文字通り全てを失うとは思いもしていないだろうな」
「どういう意味」
「つまり死んじゃうって事なのだ」
「よせジェラルド!いらん説明するな!」
「なんですって!?」
激昂したアリスが掴みかかんとせん勢いで、鼻で笑うスラグワースに詰め寄った。
それと同時に、フィクルグルーバーはプロドノーズを怒鳴りつける。
いつもの二人のじゃれ合い……に見えていたが、プロドノーズは怪訝そうにあまりにも必死なフィクルグルーバーを見据えた。まさか彼は本気で―――
「彼らはこんな事を言っているが本気にしないでくれ、アリス。
君が戻って来てさえくれればいいんだ。
それで今日の事はすっぱり忘れて、特別な記念日にしようじゃないか」
「貴方と結婚するくらいなら、貧乏人になった方がマシだわ」
早口で弁明を述べるフィクルグルーバー。
しかし吐き捨てるようにアリスがそう言えば、特大のダメージを食らった彼はよろよろと後退り、ハンカチで口を押さえたまま……動かなくなった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます!そしていつも最高のお言葉ありがとうございます!最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた!やったー!番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました! (3月4日 5時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした!こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません!またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます!一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました!❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました!🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます!ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……!と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……!むめさんの命が助かって良かった……!私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソフナー | 作成日時:2024年2月12日 21時