【偽りのデート】 ページ20
二階でクローゼットをひっくり返さんとする勢いで、着替えに気合を入れるアリス。
下から父の「フィクルグルーバーさんが来てくださったよ!」という弾む様な声が届き、すぐさま一階へと降りて行った。
あたかも、待ち侘びて仕方なかった、というように。
「ごめんなさいフィリックスさん。お忙しいのに我儘言ってしまって……」
「君からの我儘なら大歓迎だよアリス」
アリスからの珍しいお願いにも関わらず、フィクルグルーバーは嬉々として彼女を迎えた。
手を取り外へエスコートされれば、お抱え運転手の待つ高級車が止まっている。
さて、どこまで時間を稼げるか。アリスは悟られぬよう胸の中で気合を入れた。
嬉々として……と言っても多少の疑問は抱いているようで、怪訝な顔をしながら髪色に対して問いかけるフィクルグルーバー。
「アリス、髪はどうしたんだい?」
「朝起きたら直っていたんです。
よく分からないですけど、ラッキーでした。アレじゃ目立っちゃいますから」
酷いチョコレートですよね。毒を盛るなんて。
なんて零すアリスの言葉に、フィクルグルーバーは目を逸らした。
小さく「そうだな」と答えるだけで、それ以上その話題については触れられない。
運転手が降りてきて、アリスを乗せる為に後部座席のドアを開ける。
「じゃあ、パパ。あとはよろしくね」
ポールは「任せなさい」と頷く。
フィクルグルーバーは多分、これからの店の経営の事だと思っているだろう。
ニコニコしながらアリスは車に乗りこみ、フィクルグルーバーが反対側からその隣に座った。
彼が幾つかのアクセサリーショップの名を連ねれば、運転手が車を走らせる。
高級ジュエリーショップは広場を挟んで大聖堂の反対側だ。
高級ブティックも高級時計屋もまた然り。
「昨日と比べて随分ご機嫌のようだ」
「昨日までは自分がちゃんと出来るかどうかずっと不安でしたから。
でももう大丈夫です」
私もウィリー・ウォンカなので。
とは勿論言わず、弾けんばかりの笑みをフィクルグルーバーへにっこりと向ける。
流石の彼もいつもと違う雰囲気のアリスに奇妙な感覚を覚えたが、考えすぎか。と深く思考することは無かった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます!そしていつも最高のお言葉ありがとうございます!最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた!やったー!番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました! (3月4日 5時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした!こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません!またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます!一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました!❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました!🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます!ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……!と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……!むめさんの命が助かって良かった……!私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソフナー | 作成日時:2024年2月12日 21時