【忘れていた夢】 ページ14
「お礼に僕も、君に魔法を掛けるよ」
さぁ眼を閉じて。
言われた通りに眼を閉じたアリス。濡れた睫毛が星空みたいだ。
彼も真似をして、瞳を閉じる。そして瞼の裏に、あるイメージを思い浮かべた。
眼を閉じたら、想像して。
君は今、幼い女の子だ。大好きな家族と一緒に、大好きなレストランで暮らしている。
君は御伽噺の絵本も大好き。本棚には沢山の絵本があって、君は一番お気に入りを手に取るんだ。
「……あ」
「どうかした？」
「……ううん。なんでも……」
「そう？」
じゃあ、続けるよ。
君はお気に入りの本を開いて、笑っている。
もう何度も読み返しているけど、大好きだから飽きないんだ。
何度だって読みたくなる。そのくらい気に入ってる。
そして読む度に何度もこう思うんだ、私もいつか―――
「あ……」
「ダブル”あ”だね。何か思い出した？」
「……うん、ずっと忘れてたの。小さい頃、大好きな本があって……。
小さな女の子がレストランに住んでいて……大きなお鍋で家族みんなにシチューを作るの」
「……それから？」
とろりとした彼女の言葉で、ウォンカの瞼に映るイメージがより鮮明になる。
小さな女の子、アリスが自分より大きな鍋の前に立ってシチューを煮込む映像。
「女の子は何度か失敗をしちゃうんだけど……最後はとっても美味しそうなシチューが出来て……家族みんなと笑顔で分け合って……私ずっとそれに憧れていて……それで、私もいつか……」
紡がれていた言葉はそこで途切れた。
その先を待ってはみたけれど、なかなか続きは訪れない。
彼女の頭に頬を寄せれば規則正しい寝息が聞こえてきて、夢の中に旅立ったことを知る。
それが君の本当の夢なんだね。
やっと本来のアリスと会えた気がして、彼の心が満ちる。
また一つ、取り戻すべき目標がハッキリした。
毛布を掛けてもう一度彼女を抱きしめる。
最初に感じていた恥ずかしさなんて、もうどこかへ飛んでいってしまった。
ふわふわした抱き心地と体温と香りが、彼を安らぎに誘う。
6km泳いで疲れが出てしまったか。
もしくはアリスの前だからと、気を抜きすぎてしまったかもしれない。どっちもかも。
良くないと思いながらも身体の力は抜けていき
頭の中で次にやらないといけない事を思い描こうとするも
気持ちとは裏腹に意識はぼんやりと遠ざかってしまい
抵抗も虚しく微睡の中に揺蕩い、身体がベッドに沈んでいくと
気付けば彼もまた夢の中―――
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます！そしていつも最高のお言葉ありがとうございます！最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた！やったー！番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました！ (3月4日 5時) (
レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした！こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません！またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます！一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました！❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました！🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます！ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……！と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……！むめさんの命が助かって良かった……！私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年2月12日 21時
