【大火事大参事】 ページ2
急激な増毛に混乱するアリスだったが、それもなおざりになるほどの惨劇が次々に起こってしまう。
「火事だ！！」
誰かが叫ぶ。
落ちてきたシャンデリアが、その辺に散らばった色々な物に引火してしまったのだ。
シャンデリアに目を向けた瞬間、あっという間に火の手が上がる。
黒い煙が店中を覆えば、お客たちは駆け出し押し合いながら我先にとその場を逃げ出した。
溶けて原型を留められなくなったチョコレートが、また床を汚す。
甘く心地よかった空気が、焦げ臭い匂いで充満する。
放心状態で燃え広がる火を見詰める、ウィリー・ウォンカ。
「消火しなきゃ！消火器はどこ！？」
アリスが叫ぶ。
それを聞いて、クリーニング屋の面々がハッとして動き出した。
消火器を持って来る者、水道から水を引く者、消防に連絡する者。
火の手は徐々に広がっていき、ウォンカの夢を黒く焦がしてしまう。
アリスも自分の髪に引火してしまわぬように、慎重に消火器を抱えて走り回った。
駄目だ、諦めたくない。
沢山の初めてを教えてくれた、彼の夢を失いたくない。
だが現実は無情。
消火が完全に終わる頃にはもう殆ど物が原型を残さず、黒い塊へと変貌してしまっていた。
立派にそびえていた柳の木も真っ黒焦げ。
草花は逃げた人々に踏みつけられてぺしゃんこ。
カラフルで鮮やかな色彩は跡形もなくなってしまった。
クリーニング屋一同がこんなことになってしまったであろう原因を口々に吐き捨てる。
チョコ組合の仕業だと。皆遠い目をしながら、凄惨な光景を眺めた。
何も言わず、ボーっとするだけのウォンカに、ヌードルが寄り添う。
慰めの言葉を掛けていたが、彼は打ちひしがれたように瓦礫に座り込んでしまった。
「ヌードル、今は一人にしてあげましょう」
アバカスがそう言うと、皆は落胆しながら静かに店を後にする。
荒廃した現実に、アリスとウォンカ二人きり。
静寂が凍てついた空間を造る。
胸を締め付ける様な痛みが彼女を襲うが、彼の更なる痛みは計り知れない。
アリスは長い髪を引き摺って、俯く彼の目の前に立った。
静かに手を伸ばし、古びたシルクハットごと彼の頭を抱き寄せる。
「ありがとう、素敵な夢を見せてくれて」
返答は無かった。
ゆっくり離れるアリス。胸の中から何かが引き抜かれてしまったかのような喪失感。
彼に背を向け店を出ようと重い足取りで歩き出すも、断ち切れない想いが彼女を一度だけ振り返らせる。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん、コメントありがとうございます！そしていつも最高のお言葉ありがとうございます！最後まで書けたのもかんなさんの応援コメントのお陰です♡フィクル推し増えた！やったー！番外編は気を長くお待ち頂けたらと思います(笑)ありがとうございました！ (3月4日 5時) (
レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 本当に最後までお疲れ様でした！こんな素敵な作品に生きてるうちに出会えて幸せです。夢小説でここまで心動かされて感動して毎日の更新が楽しみだった作品はありません！またアフターストーリーも楽しみに待ってます💕ちなみに私はこの小説でフィクル推になりました笑 (3月4日 1時) (レス) @page44 id: af16048ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - えんさん» えんさん、コメントありがとうございます！一番最初にえんさんから頂いたコメントがパワーになっていました！❤️🔥最後までお付き合い頂きありがとうございました！🙏 (3月3日 21時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
えん(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉🎉ほんとに大好きな作品です✨ (3月3日 21時) (レス) @page44 id: 284b114cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - むめさん» むめさん、コメントありがとうございます！ウォンカ夢自体めちゃくちゃ少なくて、私が……やらねば……！と思ってここまで来ちゃいました(笑)嬉しいお言葉ありがとうございます……！むめさんの命が助かって良かった……！私も救われます😭救護活動❤ (2月18日 11時) (レス) id: f0e451cd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年2月12日 21時
