【チョコ嫌い】 ページ10
逃げてしまったのは恥ずかしさもあったが、同時に後ろめたさも感じていたから。
駆けながら、アリスは昨夜の自分の発言を思い出す。
『チョコレートアレルギー』について。
……あれは、嘘だ。彼のチョコレートを断るために咄嗟に思い付いた嘘だったのだ。
たぶん、彼も気付いているだろう。
自慢のソースには隠し味にチョコレートが入っていて、当然彼女も口に出来る。
……本当はアレルギーなんかじゃない。
でもチョコレートは本当に食べれない。好きじゃないのだ。
言葉を選ばずに言うならば、嫌いだと断言出来る。
その原因となった者が居て……顔を思い出したら吐き気がしてきた。
ウォンカには申し訳ないが、チョコレートをそのまま口にできないし、したくもない。
それが彼女の生きている現実で、真実だ。
夢見心地でぼんやりしていた頭が、リアルに戻ってくる。
どちらにせよ、あの場に長居は出来なかったのだから仕方ない。
アリスは罪悪感を打ち消すために、心の中で何度もそう唱えてレストランに戻っていった。
ウィリー・ウォンカが稼ぎを没収されて再び一文無しになった事など知らずに。
それからまた、アリスは何事もなかったかのように働く。
ランチ時に一度目のピークが訪れ、ディナー時にまたピークが訪れる。
彼女にとって忙しいのは寧ろ好都合だった。色々な考え事から逃れられるから。
来客の波が引いていったのは、20時を目前にした時だった。
「どれ……アリス、そろそろ行ってきなさい」
「……本当に大丈夫なの？ママが何て言うか……」
「大丈夫だとも。パパに任せなさい」
今日は忘れないぞ、とアリスは屋外メニューをせっせと中に入れる。
これで本日の「Honest kitchen」は完全に店仕舞いだ。
そんなことを考えていると、父がジンの入った瓶と今日のビーフシチューの残りが入った大きな魔法瓶を持ってきて言う。
彼女が心配そうな顔をすると、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「分かった。行ってくるね」
「お願いするよ」
アリスは頷くと袋を持ってきて、そこにパンを何個か投げ入れた。
そして酒瓶と魔法瓶を抱えて、レストランを抜け出す。
行先はーーースクラビット＆ブリーチャーの地獄の宿屋。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
