【10:00 AM to 10:15 AM】 ページ8
流石は最高品質の集まる場所、グルメガレリア。
10時から解放される門の前には既に大勢の人々が、今か今かとその瞬間を待っている。
鉄製の門が開かれたとき、それだけで群衆の表情が喜びの花を咲かせた。
自分のレストランは一応そんな人たちを迎える側なのだが……正直実感はない。
なんだか自分だけが別世界に生きているような気分だった。
そんなこと、どうでもいいか。
彼女は真っ直ぐに茶葉専門店に向かい、家でよく見る茶葉を購入する。
店主も分かってるのか「あぁ、あれね」と店の一番奥から箱を持ってきてくれた。
これで任務は完了だ。
ものの数分で終わったミッションに、物足りなさを感じるものの、何か欲しい物がある訳でも見たい物がある訳でもない。
「(戻ろう)」
結局、彼女の足は帰路へ向かう。周囲の楽しそうな笑みや声に、ほんの少しだけ羨望を覚えながら。
忘れてはいけない、この街で夢を持つことは出来ない。
今こうして輝いた表情を持つ者たち……恐らく観光者であろう人々は、グルメガレリアに夢を抱いている。
だが、実際のこの街はそんな美しいものではないのだ。
特にこの街で商業に関わる者と、困窮している者にとっては。
夢の裏側に潜む、荒廃した現実。
アリスにとってはそちらの方が身近だ。
拍手喝采が沸き上がる一角を見つめながら、自身のレストランまで直行する。
ーーーつもりだった。
歓声溢れるその一角を見つめていたのは何気なく、本当に何気なくだったのだ。
しかし、彼女の視線は男女関係なく集まっていたその群衆の奥に、見たことのある色合いとシルエットを捉えた。
ブラウンのシルクハット、ワインレッドのコート、淡いグリーンの瞳。
「(あれって……？)」
気付いた瞬間、アリスの足はぴたりと止まる。
間違いない。昨日レストランを訪れた変わったチョコ職人の男だ。
名を確か……ウィリー・ウォンカさん？
人だかりに囲まれていて良くは見えないが、彼は何かが詰まった瓶を抱えていた。
たぶんチョコレートかな？それ以外も作るみたいだけど。
昨夜の会話を思い出しながら、アリスの視線はウォンカの姿にぴたりと止まったまま。
思ってもいなかった再会に、彼女は彼が”この街”では”あまり良くない事”をしていたなんて気付きもしなかった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
