【野薔薇姫】 ページ46
息をするのも、瞬きをするのも忘れてしまいそうな光景。
初めて見る色の数々に、目が眩みそうだった。
遊園地の様なチョコショップの中央には、立派な柳の木が佇む。
その周りをチョコレートの川が流れており、カラフルな船が浮かべられていた。
周囲の客は花を摘んで食べてみたり、川からチョコを掬って飲んでみたり、楽しそうに店の中を堪能している。
何処からも笑い声が絶えず聞こえてきて、情報量の追い付かないアリスの頭はショートしかけていた。
ただただ、彼の創造力に圧倒する。
考えることが出来なくなった彼女は目的もなくふわふわとした足取りで歩を進めた。
父のおつかいとか、フィクルグルーバーとか、チョコ組合とか、色んなもの全部が彼女の中から吹き飛んだ。
店の中には彼女もよく知るヌードルやアバカスもいたが、そこまで気が回らず気付かない。
心臓が高鳴っている。
ただ周りの景色を見渡しながら、不思議な世界へ迷い込むアリス。
何か見えない力によって手を引かれていたのか、それとも特別なチョコの香りに導かれていたのか。
店の奥の方はまだ人気が少なく、少し落ち着けそうだった。
胸はまだドキドキしっぱなしで、彼女は深呼吸を繰り返す。
そんな意識がはっきりしない状態の彼女の視界は、壁に描かれた奇妙な文字を捉えた。
「(明日18歳を迎える君へ……？)」
朦朧とした彼女がその文字に気付いたのは、ほぼ奇跡に近かった。
表に書かれた美しい「Wonka」とは違って、がたがたの線で書かれたチョコ製のメッセージ。
近くには矢印も書かれており、アリスはそれを追っていく。
少し行くと更に人の数が少なくなり、喧騒が少し遠くなった所にゴールはあった。
そして其処にあったモノに、アリスは自分の高揚感を抑えきれなくなかった。
両手に抱えていた缶を静かに脇へ置く。
「(これも……チョコレートなの？)」
そこにあったのは、美しく咲き誇る薔薇。
朝露を浴びたみたいに瑞々しく、仄かに光り輝いているように見えるこれが、チョコレートだとは到底思えなかった。
ピンク色の花弁は一枚一枚丁寧に作られており、本物と見紛うほど。
ドーム状の硝子ケースに入れられた薔薇は、他の誰にも触れられぬ様に護られているかの様。
お姫様みたいに愛らしく佇む薔薇のチョコレートに、心奪われる。
アリスは瞳いっぱいに薔薇を映し、初めて経験する感情の波に時間をも忘れてしまった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます！いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……！寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(？)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (
レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます！皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります！🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます！！ (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます！楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります！💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソフナー | 作成日時：2024年1月7日 21時
