【色めき出した街】 ページ22
ここ数日、街の様子が可笑しい。
アリスが最初に街の様子の変化に気が付いたのは『グルメガレリア・ゲリラチョコ販売大作戦』決行から数日経った後だった。
最近来るお客がやけに上機嫌なのだ。しかも一人二人ではない。
何組もの客が入店した時点で既にもう酔っ払ってるみたいに浮かれていた。
どこかで祭りごとでもやっているのだろうか?最初はそう思っていたが、それにしてはそんな話題耳に入ってこない。
彼女はまた一人、いぶかしげに会計を終えた客の背中を見送った。
唄を口遊み、小躍りしながら立ち去る客を。
これがウィリー・ウォンカご自慢のチョコやマカロンの効果だなんて露も知らずに。
「ねぇ、パパ。最近、街の様子変わったと思わない?」
「ん〜そうかい?」
明るくなったならいいんじゃないかい?
なんて朗らかに笑いながら父は言う。ずいぶんと適当な返事だ。
そういえば、様子が可笑しいのは街だけでは無かった。
買い出しに行っていた父は買い物袋を抱えながら、大きな声で歌い始める。
元々陽気な性格ではあったけど、最近やけにそれに磨きがかかっている気がした。
ただ良い事があっただけなのかも知れないが……。
小躍りする父の後ろ姿をアリスは怪訝な顔で見つめる。
「そうだアリス、予約が入ってるんだった」
「予約?いつ?」
「明日の夜。店仕舞いの後、貸し切りでね」
店仕舞いの後?貸し切りで?
珍しい予約内容に、アリスが父の言葉をそっくりそのままオウム返しする。
思い返せば、最近やけに率先して予約の電話を取っていた事を思い出した。
貸し切り自体珍しいのに、わざわざ営業時間外に来る必要は何故なのだろう。
「パパの大事なお客様なんだ。ただ、ママには内緒にしておきたくてね」
「そう……ママは明日、大丈夫なの?」
「あぁ、明日は遅くまで出かけている筈だ」
だから、おもてなしの手伝い頼むよ。
そう言われて、アリスはコクリと頷いた。
それから再び鼻歌を歌い、キッチンに立つ父。
やっぱり可笑しいよね……思いながらも、彼女は夜ピークの準備を進めた。
ママに隠すほどのパパの大事なお客様って、一体どんな人なんだろう。
悪い予感はしなかったが、決して良い予感とも言い難かった。
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ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもコメントありがとうございます!いえいえいえ、こんな素人文章にお金使わないでください……!寧ろ好きと言ってくださるかんなさんにお金払います(?)いつも応援ありがとうございます🥰 (2月5日 6時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - 何かもう本当に読み進める度にこの作品が好きになります🥲💖もうお金払ってでも読みたいレベルです‼️ (2月4日 22時) (レス) @page39 id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - かんなさん» かんなさん、いつもありがとうございます!皆さんが読んでくださる事が私の励みにもなります!🙏これからも日々の楽しみの一部になれるように、頑張って更新続けていきますのでよろしくお願いします💖 (1月28日 8時) (レス) id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
かんな - やっぱりすごく読んでいて続きが楽しみになる作品ですね🥲私の毎日の楽しみになってます!! (1月28日 8時) (レス) id: 64afab6d44 (このIDを非表示/違反報告)
ソフナー(プロフ) - kinokokanaさん» kinokokanaさんコメントありがとうございます!楽しんで下さる方がいらっしゃるのが一番励みになります😭極力、一日か二日に一度更新を目指しているので、頑張ります!💪これからもよろしくお願いします💖 (1月17日 12時) (レス) @page15 id: deb951e27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソフナー | 作成日時:2024年1月7日 21時