【ヤンデレ】色を失くした君に【オリジナルBL】 (ページ9)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:13,231 hit

８ページ9

今日は一日中ずっと木村と話していた気がする。
木村は運動が好きだけどそれと同じくらい絵を描くのも好きで、
特に黒板に描く”黒板アート”が大好きらしい。
大学生のお兄さんが居て、休みの日は一緒にランニングをしている…
ボクは長男だからお兄さんがいるのは羨ましい、と言ったら
オレがお兄ちゃんになってやるー！と抱き着かれていた。
約20㎝違う彼の抱擁は少し息苦しそうだったが、とても幸せそうだった。

「それにしても、コタって意外と喋れるんだな！」

「喋れますよ？
　結構おしゃべりですから！」

「まじでー？
　全くそう見えねぇわ！」

　くだらない会話で笑える。
小太郎は幸せそうだが、居場所が違う。

「…小太郎の幸せそうな顔を見ていいのは僕だけだ」

　小太郎、僕がお前を幸せにしてやる。
だから、お前も僕だけを見て？
僕と小太郎の仲を切り裂くような輩は僕がつぶしてあげる。
一生一緒に居よう、小太郎。
悪魔に対価を払ってでも、守ってあげるから…

「…跳野」

「速水先生、どうしました？」

「機材を運ぶのを手伝ってほしい。
　新しい機械を導入しようと思って、運んでる」

　部活の機械か。
僕も一応部員だしな…しょうがない。手伝おう。

「これを部室まで運べばいいんですか？」

「あぁ。
　少し重いが、大丈夫か？」

「…っと、これくらいなら大丈夫です。
　先に部室の方行ってきますね」

「頼んだ」

　部室へ向かいながら木村への処罰について考えた。
小太郎と話すだけならまだしも、抱きしめたのはかなりの重罪だ。
いや話すだけでも僕は許さないが。
ふと、運んでいる機材の中にロボットのアームを見つけた。

「…何に使うんだ」

　ため息をついた次の瞬間、僕の口元は緩んでいた。
…処罰の方法が、見つかったのだ。