【ヤンデレ】色を失くした君に【オリジナルBL】 (ページ37)

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３５　衣萩視点ページ37

あの二人は相変わらずだなぁ。
委員長は白雪君が苦手みたいだけど、僕は仲良くしたいなと思ってるよ。
ただ彼は僕のことが嫌いなのかな。かなり殺気があふれ出て来てる。
仲良くしたいんだけどな。なにがダメなんだろう。

「それじゃあ僕も教室に…」

「おいそれで通れると思ってんのか」

「え、今日はまだ特に何もしてないよ？」

　これから翼君に何をするかもあまり考えてないしね。

「季節感のある制服着ろって言ってんだよ。
　今の季節なんだと思ってんだ」

「夏に決まってるじゃないか」

「じゃあその上着は何だよ」

　相変わらず目が怖い。

「制服の上着だよ。
　去年からずっと着てるけど、かなり新品に見えるでしょ？」

「そんな話はしてねぇ」

「わ、怖いなぁ」

「校則第27条季節感のある制服で登校。
　校則違反により、今すぐに改善を求めることとする」

　何か風紀委員って皆そう言ってるよね。
校則第～条ってやつ。よく覚えてられるよね。尊敬しちゃうよ。

「えぇ…上着脱ぐだけでいいかな？」

「ああ」

　上着を脱ぐ。手袋は…取らなくていいよね。
元は体温を人に悟られないための物。冷たい手を、誤魔化すための物。
上着も、体温をごまかしたいだけ。…君がいるなら、もういらないかもね。

「…家の人に電話して上着を取りに来てもらうよ」

「早くしなければ朝会が始まるぞ」

「早く来てもらうよ」

　携帯で家の人に電話をかける。
翼君は…もう教室に向かってる。彼はもう僕のことを覚えてないんだよね。
苦しい気もするけど、よく考えればまぁそうか。
ヒーローはいちいち助けた人の顔なんて覚えていないんだ。
それでも…

「…いつ思い出してくれるんだろう」

…それでも、覚えてほしいと思ってしまう僕は…
きっと、誰よりも強欲な悪役なんだろうね。