月下蘭の世界 (ページ6)

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４話ページ6

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ここで少し、説明する。

ここは江戸だから。
お上に仕えるお家の人も当然いる。

それが、四神だ。

お上を麒麟とし、そこに集うお偉いさん一族。

朱雀・来栖一族。
玄武・三条一族。
青龍・皇道一族。
白虎・今出川一族。

この4つの強大権力が、今まで江戸、国を支えてきた。

これらが何故四神と呼ばれるのか。

それはこの地にある昔話からとったらしい。

昔、この地には四神と麒麟が居た。
それらは人々が崇めれば、それに見合う暮らしを与えた。
逆に崇めなければ、それに見合う苦しみを与えた。

そのため、その四神を収めるため4つの一族が四神を管理しあった。

おかげで江戸は発展し、今の形になったと。

私の家は代々、白虎・今出川一族に雇われて居たが…
祖父の時代からそれは解雇された。

理由は知らない。
恐らく、発展する時代に忍を必要としなくなったというのが一番だと思われるが。

そんなわけで、私は来ればどんな依頼でも受け持つようになった。

今回のは、赤ということは朱雀・来栖一族からの依頼となる。
そして白は白虎・今出川一族を示す。

「これは、四神同士の暗殺ということ、か」

外は暗い夜。
眩しい灯りをともしながら、今日届いた手紙を読み呟く。

この時代になっても、暗殺が消えないとは。

しかもこれは暫くの潜入が必要だ。
そうとう骨がいる。

父上には相談した。
そして、明日からその今出川一族のターゲットの近くで働かせてもらえるよう、上手くやって貰った。

どんな人でも、殺さなくちゃいけない。

目をぎゅっと瞑ると。

人を斬ったときの匂い、肉を切る完食。
そしてその肉塊から出る苦痛の声。

嫌なものばかり思い出される。

「ふん…弱肉強食の世界などとうの昔からあるというだろうに」

今更怯えなど。
そう考え、手紙をゆっくりとたたみ。

全ての感情を押し込めるように、私は布団を頭まですっぽりかけた。

…明日から仕事だ。しっかりせねば…。