17’石榴のパンナコッタ ページ17
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「...ここで合ってるよな」
「ああ」
ヒロと肩を並べ立派な門構えの前に佇む
__[孤児院]、大きな表札の様なものに彫られた生々しい文字から目を離す
ヒロとアイコンタクトを取り合い、一歩敷地の中へ足を踏み入れながら、卒業式の日に教官に言われた言葉を思い出していた
**
「君に家族として迎えて欲しい子供がいる」
教官室に教官と僕の二人
聴いている者は誰もいない
「迎えて欲しい子供、というのは...」
「ほんの10歳そこらの幼い子でね。最近両親が他界してしまって孤児院に入る事になったんだ」
まだ幼い子供を置いて両親共々他界、か
「そんな大層な役目、僕に務まるでしょうか」
兄弟も居なければ自分の子供だって居ない
そんなこんなでいきなり見知らぬ子供と家族なんて二つ返事では受けられないと思った
「こちらも援助はするよ。受けてくれるとありがたい」
「...__何故、その役目を僕が任せられる事になったのでしょうか」
素朴な疑問は教官の瞳の裏に隠された真実によって確信へと変わる
「__その子の両親は...ゼロの人間なんだ」
__だから、か。これからゼロになる僕に頼むのは
**
「話は聴きました。こちらにどうぞ」
元々話は通してあり、すんなり入る事が出来た
「ここで待っていて下さい。今呼んで来ます」
案内してくれた先生が行ってしまうと、次第に緊張が高まっていく
「...というか、僕よりヒロの方が緊張してないか?」
「そりゃ緊張するだろ。だってゼロに新しい家族なんて」
「...いや、正確には新しい家族じゃないな」
「...ああ、そうだったな」
そこまで言ってヒロとの会話を切った
先生に手を引かれ、ただ真っ直ぐにこちらを見据えた少女がやって来た
「この子がAちゃんです」
興味か好奇心か。それとも...無感情なのか
読めない表情の少女の視線の高さに身を屈めた
__「その少女は両親が他界した事を知らされていない」
「だから...注文を付けるとするならば、新しい家族として迎えるのではなく
__再開した兄妹として家族に迎え入れてくれないか」
少女の頭に恐る恐る手を乗せ微笑んだ
「...久しぶり、A。ずっと会いたかったよ」
『...私のお兄ちゃん?』
「そう、ずっと会えなくてごめんな。
__そしてこっちが、Aを小さい頃から知る幼馴染み、」
「景光だ。見ない内に大きくなったな」
__あの日、僕とヒロはAに大きな嘘をついた
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リンドウ - 月下美人さん» ここまで読んで下さりありがとうございます!何とか無事にハッピーエンドで終える事が出来ました!笑 ありがとうございました!! (2019年6月6日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - あめ、さん» ありがとうございますー!!こじれた恋愛ついに完結致しました!おコメントも励みになりました、本当にありがとうございました! (2019年6月6日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
月下美人(プロフ) - ハッピーエンド完結おめでとうございます&お疲れ様です!! (2019年6月6日 1時) (レス) id: 9aa06677e2 (このIDを非表示/違反報告)
あめ、(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいてました。ついに結婚……!これからもどうかお幸せに、ですね!お疲れ様でした〜。 (2019年6月6日 1時) (レス) id: 112aeeb1e8 (このIDを非表示/違反報告)
リンドウ - コーヒー牛乳さん» 本当ですか!ありがとうございます!!この作品で降谷さんと松田さんをもっと好きになって頂けるとは...!!喜びの極みです笑 これからも更新頑張ります (2019年5月19日 7時) (レス) id: 8527558b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンドウ | 作成日時:2019年4月2日 5時