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久々に足を踏み入れたその家は、女一人が住むには広すぎる家だった。
今は誰も住んでいないそれは、いやにガランとしていた。

…姉上。

姉上は寂しくなかったんですかィ?

こんな所で。

一人で起きて、一人でメシ食って、一人で寝て。
ずっと一人で。

いや。
そんなもん、寂しいに決まってる。


もっと何か、してやれたんじゃねぇのか。俺が姉上にできたこと、もっとあっただろ。


溢れ出る後悔が、俺の中にどんどん溜まっていく。



坊主が経をあげてるときも、姉上の遺影を見ているときだって、後悔は止まっちゃくれねぇ。

気が付いたときには、外は真っ黒に染まっていた。


ポンと誰かの手が、肩に置かれた。



「総悟…。泣きてえなら、泣いていいんだぞ。」


「…。」


近藤さん。
アンタは優しすぎるんですよ。
アンタがそんなだから、せっかく我慢してんのに、また泣きそうになっちまうじゃねーか。


気を引き締めて近藤さんを見た。
気を少しでも緩めたら、涙が零れてしまいそうだったから。そうなりゃ、全部が水の泡だ。


「大丈夫ですよ。つか、もう遅いんでそろそろ寝やしょーや。」


近藤さんは、やっぱりまだ心配そうな顔をしている。
土方だってそっぽ向いちゃいるが、内心では俺のこと気にかけてんだろ。アイツはそういうヤツだ。

これ以上心配かけたくねぇから、俺は部屋に逃げて布団に潜った。



一時間が過ぎた。ポツポツと外から聞こえていた音が、ザアアというものに変わった。

二時間が過ぎた。隣の部屋から寝息が聞こえてきた。

三時間が過ぎた。俺はまだ眠れなかった。


もうどれだけ経ったのか分からない。


でも、何故か、俺は家を飛び出した。

こんな時間、普通ならないはずの列車が、さも当たり前のようにそこにあった。
何も考えず、それに乗り込んだ。




ただ、会いたかった。

理由なんざなかった。

何もねぇのに、それでも無性に会いたいヤツがいた。









だがその場所についたとき、ふと気付く。
こんな夜、雨の中に居るわけがねぇ。






『そーちゃん。』




なのに。



「なんで居んだよ。てめぇは。」



こんな雨ン中、こんな時間に。びしょ濡れンなって、もうこんなに暗ェのに。
なんで、





『そーちゃんがね、絶対来るって思ったから。』







なんでお前はそんな風に、ただ笑って、その場に居てくれんだ。

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ちょこころね(プロフ) - すごく続きが楽しみです!無理せずに頑張ってください! (2021年1月21日 22時) (レス) id: a289ecd4b7 (このIDを非表示/違反報告)
沖田夕重(プロフ) - わあああああ返信遅くなってしまって申し訳ありません、、、!んええええ気になってくだっさってるんですか!!光栄です!ありがとうございます!! (2020年12月10日 0時) (レス) id: d619299740 (このIDを非表示/違反報告)
莉弥(プロフ) - んんんんぉぉぅぅぁぅ気になるぅ (2020年5月26日 0時) (レス) id: f49a8255da (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 沖田夕重さん» あげられるほど高くありませんよ…(笑) 私も来年受験だから頑張らないと… (2019年1月4日 10時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
沖田夕重(プロフ) - Leafさん» ありがとうございます!偏差値ください! (2019年1月3日 23時) (レス) id: fd7dd08ffc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田夕重 | 作成日時:2018年2月23日 22時

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