俺はお前の、お前は俺の (ページ7)

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七瀬side

どこかで春なら断ってくれると信じてた。
でもマイキー直々の指示なら春は断れないっていうのもどこかで分かってた。

『…家で会うのもつらいな…』

どのくらいの頻度でその女と関係を持つのか分からないけど、その女と会った後の春を家で待つのはめちゃくちゃしんどい。
ホテルでも探そうか…春とヨリを戻した頃の家はもう解約しちゃったしなぁ…。

『とりあえず荷物まとめようか…』

しんどくなった時、すぐ家を出れるように最低限の荷物をまとめておこうと決めた。

キャリーケースに荷物をある程度入れて、あとは日々使ってるものをしまうだけの状態にして、30分くらいぼーっとしていると玄関のドアが開く音がした。

春「七瀬…」

『あ…おかえり。ご飯つくるね…』

春と出来るだけ顔を合わせたくなくて、座っていたソファから立ち上がってキッチンに向かおうとすると

春「話したいことがある…」

春はそういうと私の手首を優しく掴んで、またソファへ座らせた。

『触らないでって言った…』

春「…断った。」

『え？』

春「あの後、マイキーに頭下げてさ。
ほかの案件だって書類関係の仕事だって何でもやる、だから今後、女絡みの案件はしたくねぇって言った。」

『そんなこと…マイキーは…』

春「マイキーも七瀬のこと大事に思ってる。
渋々だけど了承してくれたよ。
その代わり、灰谷の仕事とかやらねぇといけねぇからしばらく休みはないけどな…」

『春…ごめんね…。』

春「いーや、俺が悪かった。
俺だって七瀬の仕事に口出して辞めさせたのに俺の仕事には口出すなは都合よすぎだよな。」

『ありがとう…はる…。』

春「お前には笑ってて欲しいからなぁ？？
ところでよぉ…触ってもいいか？」

『へ…あ…』

私が返事をする前に手首を優しく引っ張られ、気付いたら春の腕の中にいた。

春「そもそも七瀬に触れねえなんて無理すぎて死んだ方がマシだって思ったわ。」

『私も自分で言ったくせに寂しかった…』

しばらくぎゅっと強く抱き合ったまま春が頭を撫でてくれていた。

私はこの手が大好きだ。
たくさんの人を殺めている手だけどもあったかくて触られると心地いいこの手が大好きだ。これからも…。