す の じ ょ

▽ 素直じゃない ページ26

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『 あ、これどうぞ 』




そう言って手渡して行くのはラッピングされた

ガトーショコラ。

みんな喜んでくれてるんだけど康二は物珍しく

ラッピングされたそれ、と私を交互に見る。




向 ｢ 東京来たらラッピングされとる… ｣



渡 ｢ どういうこと？ ｣



向 ｢ 今まではタッパーに入れて

自由に取ってみたいな感じやったんですよ？ ｣



『 おぉい、言わんで？ 』




関西はみんな集るように来るからラッピングが

面倒くさかったんやもん、しゃあなくない？

だって、なんか、せっかく渡すのに

ラッピングしてなかったら、なんか、ねぇ…？



目 ｢ え、いっぱい食べれたってこと？ ｣



岩 ｢ A、別にラッピングしなくて

いいから頂戴…？ ｣



阿 ｢ そこなの？ ｣



岩 ｢ だってめっちゃうめぇんだよ！これ！ ｣



佐 ｢ ！！ほんとだ！！ ｣



渡 ｢ っうわ！！！！ ｣




いや、私のちょっとした努力と見栄……

嬉しいけどね、ガトーショコラ如きでこんなに

喜んで貰えるのは。作るけどね！！

昨日の夜、夜更かししてラッピングしたんだけど！

男の子には通じないらしいよ、世の女子達…




『 …そんなので良かったらいつでも 』



宮 ｢ A、わざわざありがとう ｣



『 っえ、まあ、バレンタインなんで… 』



宮 ｢ いや、これもだけどわざわざラッピングもありがとう ｣




舘様…みんな、前言撤回、舘様は分かってくれる！！


そんな中、いつもなら岩本くん並に食いついて

来るであろう、最年少の姿がない。





『 あれ、ラウまだ来てないんですか？ 』



深 ｢ あぁ、ちょっと学校遅れてるって ｣



『 …最近ほんと忙しそうですね 』



阿 ｢ うん、なんか受験校もまだ迷ってるみたいだよ ｣



佐 ｢ 兄ちゃんは心配だなあ ｣



深 ｢ お母さんも心配、 ｣




ふっかさんのその一言に照くんを筆頭にみんな

なんだそれ、みたいにからかうんだけど

それぞれ同じことを思ってるのか

顔は少し寂しそうだった。




こないだケーキ食べに行ってからというもの

だいぶ息抜きしながら頑張ってるっぽいんだけど

やっぱり背負ってるものは大きいのかな、なんて

ここにいるみんなが考えてた。







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