Maybe .II (ページ18)

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「……ふっか先生」

　ドクンッと心臓が大きく脈打った気がした。あー、そうか……。

「うん、佐久間」

　やっと分かった。最近、俺が変なこと考えちゃう理由。

「あー、さっくんの方が良かった？」

「うーん……どっちでもいいです」

「じゃあ、気分で勝手に変えるね」

「……はい」

　気付かれないように、平静を装って飄々としている振りをする。

「じゃあ、今日はありがとうございました」

「うん。お疲れ」

　佐久間先生は車から降りると、ぺこりと頭を下げた。俺は手を挙げると、車を道路へと走らせた。

「……はぁー……マジか……」

　佐久間がいなくなった車の中で、大きい独り言を呟く。
　初めてのことに、胸が締め付けられる。

「俺……佐久間先生のこと好きだったんだな……」

　後輩としてじゃない。佐久間に抱く感情は恋愛と同じだ。可愛いと思ったのも、助けたいと思ったのも、自分のことを話したいと思ったのも、後輩に絶対させない呼び方をしてほしいと思ったのも……全部……。

「あー……これからどうするよ……」

　赤信号の奥に広がる夜空を見上げた。

(まあ、仕方ないな)

　自分の感情が分かったのなら、攻めるしかない。諦めるつもりなんて、毛頭ない。
　
　