９人の恋人候補。【雪】Route X

# Route Yellow ページ21

Hikaru side.









あの日から、俺の頭は彼女のことでいっぱいだった。




最近試作で作ったケーキも、社員の若い子達から評判が良くて。

何でかって、彼女のことを思い浮かべながら作ったものだったから。









どんなのが好きかな、

色は、

味は、

デコレーションは、









そんなことを思い浮かべながら作ると、自然と良い出来になるの。


やっぱりこれは恋の力なのかな、なんて少しクサいセリフを頭に思い浮かべたりして。







街を歩くと流れるラブソングも俺の為に流してくれてんのかなって勘違いするくらいグサグサと刺さってくるの。







今日は試作品2号と3号を1番に彼女に食べてほしくて持って帰ってきちゃった。


いるといいなぁ、なんて思ってたら玄関でバイト帰りの彼女にばったり会って。









「あ、おかえりなさい。」









ニコッと笑う彼女の笑顔に、仕事疲れが一気に吹き飛んでいった。









照「ただいま。Aさん。良かったらどう？」









小さな白い箱を掲げて笑ってみせれば、嬉しそうにキラキラと瞳を輝かせた。









照「これね、試作品なの。Aさんに食べてみてほしくて。」



「えっ、いいんですか？」



照「うん。Aさんの反応が良かったらお店に出そうかと思ってるから。」



「それは責任重大じゃないですか....」









なんてちょっぴり表情を強張らせた。









照「大丈夫。素直に美味しいとか美味しくないとかそんなんでいいからさ。」








そう言って白い箱を開けた。






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