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「覚えてないですか?私がとんでもないミスして先輩に怒られたこと」
「…1年目の秋ぐらいだったっけ」
「ですね」
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1年目の秋にもなると、仕事というは少しずつ慣れてくるもので。
私はある企業との取引で必要なものを発注し忘れていたことを、取引当日になって気付いたのだ。
いつもだったら当日までに確認してたのに、バタバタしていたのと、大丈夫だろうという過信でしなかったのだ。
取引先の人は私たちの会社と普段から交流があり、「そういうこともある、いい勉強になったね」と取引を発注したものが届く日まで伸ばしてくれたのだ。
事なきを得たが、もちろん先輩からはこっぴどく叱られた。
「お前さ、他の企業だったらどうなってるかわかるか?」
「俺、確認しとけよって言ったよな?バタバタしてたとかは言い訳にもならないからな」
「…念を押さなかった俺も悪いけど、お前ももっと気引きしめろ」
ぐうの音も出なかったし、この時ばかりは堪えきれず退勤後、自動ドアを抜けた先で泣いてしまった。
自分のミスだと重々承知だし、先輩は何一つ間違ったことを言っていない。
ただ、自分の不甲斐なさに泣けてしまったのだ。
「…その顔で帰んの?」
「!?…めぐ、ろくん、」
「ふは、メシ行こ。よく行く居酒屋まだ空いてるから」
目黒くんは私の腕をとり、有無を問わずに居酒屋に連れて行ってくれた。
「とりあえず生2つとー焼き鳥盛り合わせとー唐揚げで」と、常連のように頼むと、「瀧本も泣くんだな」と笑われた。
「なっ…泣く時だって、そりゃあるよ」
「佐久間さんに結構きついこと言われてても返事して前向きに頑張ってる瀧本しか見てなかったからさ」
私の事、見ていてくれたんだ。
同期の中でも群を抜いて優秀だと言われている目黒くんにそう言われると思っていなくて。
だけどなんだか悔しさも溢れてしまって、可愛げのないのことをつぶやく。
「…先輩に怒られたから、泣いてたわけじゃないから」
「…じゃあ、なんで?」
「はーいおまちどう!生2つねー!」
どん!と置かれた生ビールを前に、「とりあえず飲むか」と乾杯を交わした。
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澄架(プロフ) - きょうこさん» きょうこさん、コメントありがとうございます☺️嬉しいです〜!これからも読んでくださると嬉しいです!ありがとうございます( ˘ ˘ ) (2023年1月20日 12時) (レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
きょうこ(プロフ) - はじめまして(•‿•)お話し読ませて頂いて凄くハマりました!佐久間さん、頑張って欲しいです(。•̀ᴗ-)✧ (2023年1月19日 11時) (レス) @page27 id: 9bcf9b1806 (このIDを非表示/違反報告)
澄架(プロフ) - 咲里以さん» お返事遅くなってしまってすみません…!切ないんです…佐久間さん頑張ってくれ…(私が言うな) (2022年8月13日 20時) (レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
咲里以 - ええ…なんか……ええ……(´°̥̥ω°̥̥`)切ねぇ……(´°̥̥ω°̥̥`)ちょっと佐久間さんホント頑張れ……。゚(゚^ω^゚)゚。 (2022年8月3日 6時) (レス) @page14 id: d6172fab00 (このIDを非表示/違反報告)
澄架(プロフ) - 咲里以さん» コメントありがとうございます🙇♀️嬉しいです〜!やっと新作出せたので、安心しました🫶頑張って欲しい佐久間さん…頑張れ…! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 6cf4b7c805 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澄架 | 作成日時:2022年7月24日 16時