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そうこうしているうちに
先生がそろそろ下校するように言い出した。
岩本先輩の前にいた女の子たちも、後2人。
ラ｢Aちゃん？いいの？行かなくて。｣
｢…よくない。｣
ラ｢ほーら、行ってきなよ！｣
今日は写真撮れないかなって思っていたら
しびれを切らしたのか、
ラウが私の背中をぽんと押した。
私は少しよろけながら
岩本先輩の方へ足を踏み出す。
岩｢おぉ、吉田。お疲れ。｣
｢お疲れ様ですっ！｣
最後の子と写真を撮り終わった
岩本先輩は私に気づき、
眉を下げながら笑顔でこちらに向かってきた。
岩｢まじでさぁ…
俺と写真撮ってなんかいいことあんの？(笑)｣
｢ヒーローでしたもん、岩本先輩。｣
岩｢それはお前もだろ。｣
｢私は…｣
岩｢すごかったじゃん。6人抜き？
さすが吉田って思ったわ。｣
｢あ、ありがとうございます。｣
褒められてたことが素直に嬉しくて、
自然と笑顔になる。
だけど、｢写真撮ってください｣の一言は
喉元に詰まって出てこない。
岩｢この調子で県大会も頑張れよ。｣
そう言って岩本先輩は私の頭を
ぽんぽんと優しく叩いた。
｢っ……！｣
岩｢じゃあ、また明日。｣
行っちゃう。
待って。
行かないで。
まだ写真撮ってない。
｢あ、あのっ！｣
岩｢ん？｣
｢えっと、その…あの…｣
岩｢どした？｣
｢わ、私と…写真、撮ってください！！！！！｣
恥ずかしさでおかしくなりそう。
多分私、今顔真っ赤。
岩｢全然いいけど｣
｢えっあっ、ほんとですか！｣
岩｢おう。俺今携帯持ってないから吉田のでいい？｣
｢はいっ！全然！｣
ラウに撮ってもらおうとしたけど、
彼はどこかに消えていて近くにはいなかった。
え、これ。自撮りするの…？
岩｢大丈夫か？｣
とりあえず、インカメラにしたスマホを持つ手を上げ
私たちを映そうとした。
だけど身長の高い岩本先輩を映すのはなかなか至難の業で、スマホを持ちながら自分がくるくると回ってしまう。
岩｢なにしてんの(笑)｣
｢いや、全然入らなくて…！｣
岩｢ふはっ！かわいいじゃん。ほら、貸してみ？｣
岩本先輩は私からスマホをひょいと取ると、
慣れた手つきで写真を撮った。
ちょっと待って。今なんて言った？
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作者名：ひなの
| 作成日時：2021年7月22日 21時
