178 Meguro side ページ29
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一目惚れ、だったんだと思う。
最初の第一印象は、同い年なのに落ち着いてる女の子。
可愛い見た目に反して、恋愛経験は赤ちゃんだって知って。
Aって呼ぶ度に赤くなる顔がかわいかった。
勉強ができて運動が苦手。
お弁当のご飯は得意なのにお菓子作りは苦手。
優しくて、不器用。
隣の席に居るのに、ふと、どこか遠くにいるような気がする儚さがあって。
気付いたらいつも目で追っていた。
風の噂で俺のことを好きな女の子たちに囲まれたけど、むしろ女の子たちを激励する言葉をかけてその場を乗り切ったとか聞いて。
そういう彼女の芯の強さに惹かれて、いつの間にかどんどん好きになっていた。
だから、気付くのは簡単だった。
Aの好きな人が阿部先生だって。
阿部先生のことになると喜怒哀楽がわかりやすくて。
それが珍しく年相応に見えて可愛くて。だけどそうやって阿部先生のことだけに変化する彼女に、悔しさも感じた。
俺にドキドキして欲しかった。
俺がその表情を変えたかった。
体育祭で「好きな人」のお題が引けたら恋が叶う、なんてジンクスを信じて選んだ借り物競争。
結局「気になる人」ってニアミスのお題しか引けなくて。
彼女の手を引いて走った俺の手だけが熱いのも、悔しかった。
阿部先生には叶わない。
何故か戦う前からそう確信してる自分も嫌だった。
阿部「あ、」
目黒「っ」
部活に向かう廊下で鉢合わせたのは、Aの想い人。
阿部「……部活かな？目黒はサッカー部だよね、怪我には気をつけて頑張ってね。」
俺の部活のことも知ってるこの人は、きっと俺が思うよりもちゃんと生徒のことを見ているんだろう。
だからこんな事言うのは違うのかもしれない。
……だけどこれは、俺の決意表明だ。
目黒「ありがとうございます。……俺、まだ頑張りますから。卒業するまで、諦めないです。」
阿部「え、？」
目黒「油断しないでくださいね！」
ポカンとした阿部先生を置いて、俺はグラウンドに向かって走り出す。
俺にはまだ大人の余裕みたいなものはないし。
阿部先生が持ってるものを何も持ってない。
ただ、正々堂々向き合うことが、今の俺に出来る最大限の戦い方だ。
阿部「ははっ…若いなぁ。…でも、俺も譲らないよ。」
そんな風に阿部先生が俺の走り去る背中を見ながら呟いていたことを、俺は知らない。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
