冬の匂いに包まれて【雪】 (ページ28)

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さっくんが店長に事情を説明してくれて
今日はもうあがっていいよと店長が言ってくれた

たたでさえ迷惑をかけているのに
こんなことで早退させてもらうのは申し訳なくて
最後まで働きます！って言った途端、

店長がちらっと視線をずらし苦笑いで
“Aが帰ってくれないと俺が死にそう”って、なぜかさっくんと供にキッチンを追い出された。

『……あの、さっくん』

「Aごめん！もっと早く助けてあげれなくて。大丈夫？」

『なんで……』

「ん？」

『なんでさっくんが謝るんですか。悪いのも迷惑かけたのも全部私なのに』

何もできない自分がくやしい。

うじうじした自分が恥ずかしくて、
さっくんの視線から逃れるように俯けば、ぎゅっとまた優しい手に包まれた。

「俺が手離したとき、A寂しかったでしょ？」

『っ、そんなことない、です』

「え～、佐久間さんには聞こえたんだけどなぁ～」

そっかぁ。佐久間さんの聞き間違いかぁって
さっくんが手を離そうとするから、反射的にぎゅっと握り返してしまった

「およよ？Aさん？」

『っ、』

ゆっくりと覗き込まれてくりくりの目とぶつかった

自分でも分かるくらい、一瞬で顔が熱くなる

「俺、期待しちゃうけどいいの？」

さっきまでおよよ？とか言ってたのに

いつもにゃはって可愛く笑うのに

今だけは、見たこともないくらい真剣なさっくんにドキドキ胸がうるさい