１９話 過去編 ページ20
ーーー地下街
いつどこで生まれたかは、わからない。
親に捨てられ、一人でなんとか生きた。
寂しくて、寒くて、辛くて。
３日以上、食べるものがないこともしょっちゅうだった。
キルトに出会ったのは、私が誘拐されそうになったときだった。
どうやら、両親のどちらかが東洋人らしく、私は黒髪と黒の瞳を持っていた。
「東洋人は、高く売れる。」
どっかでそんな噂がたち、人さらいが私を狙っていた。
何回かは、凌げたものの、そのときは体も傷つき体力的にも厳しかった。
そこへ、キルトが現れた。
「おい、貴様ら。何をしている。」
「んあ？何だよ、てめぇ。人の商売に口出すなよ。」
「俺は、何をしているのか、と聞いたんだ。」
「はっ！見ての通り、人さらいだよ。ここじゃ珍しくねぇだろ？」
「……。ボス。こ、こいつ。お、俺知ってるっス。」
「はぁ？」
「…こいつは、「警察のキルト」
「は？」
「警察のキルト。ここじゃ、有名よ。
上の人間でもないくせに、威張って、
正義感振りかざして。
何が正義よ。生きるために悪いことをしなければいけないのよ？」
「(ボス。今のうちに逃げましょう。)」
「(お、おう。)」
私が、悪態をついているうちに、あいつらは消えた。
「はっ！笑えるわ。そんな気取った格好して、部下までいて。
何、幻想に甘えてんの？馬鹿ね。」
「…お前は、俺が嫌いか。」
「ご名答。なら、はやく消えて。」
「…。寂しくないのか？」
あいつは、私のことを怒らず、
むしろ冷めた、憐れみの目を向けた。
それが、ますます私の神経を逆撫でした。
「寂しい？生まれたときから、周りには誰もいないのに？そんなこと、聞いてどうするの？」
「…すまなかった。ただ、」
「……。」
「寂しかったら、俺らのところに来い。」
そんな言葉を言って、路地に消えた。
「くっ……」
悔しかった。
寂しいとか、その前に、悔しかった。
自分がいかに子供なことを思い知らされた。
今の私からは、想像もつかないが、
昔の私は、他人が嫌いで、
人と関わるのとが大嫌いだった。
だから、自ら、一人になった。
なのに、
『寂しくないのか？』
私が望んだことが、
自分がしてきたことが、
崩れた。
甘えてはならぬ。
一人で生きていくのが、当たり前だ。
唇を噛みしめ、声を殺す。
涙を乱暴に拭っていく。
その夜は、
いつもより寒いその夜は、
明けていった。
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snow(プロフ) - 唯葉さん» ありがとうですっ！ただいま、製作に時間が掛かっていて…。もうすぐ、更新できると思いますので、お願いします。暖かいコメント、本当にありがとうございました！ (2015年8月12日 5時) (
レス) id: 61fcdababf (このIDを非表示/違反報告)
唯葉 - 昨日読んでいたマルコの話が完結してしまい、少し寂しかったところ、この小説を見つけました。すごく面白いですね☆⌒（＊＾∇゜）v 続きが楽しみです★ この小説のファンになりました。ありがとうございました。応援していますので、頑張ってください。 (2015年8月5日 10時) (携帯から) (レス) id: af5ebb6ca4 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - みくさん» ありがとうございます。あなたにとって面白い作品であれたら幸いです。リクエストなども受け付けておりますので、また気軽にコメントしてください！ (2015年7月20日 23時) (レス) id: 9ad2ea761c (このIDを非表示/違反報告)
みく - snowさん» 今晩わ。と 初めまして。この小説のタイトルを発見して、まだ中身を読んではいないのですが お気に入り登録させて頂きました！お星様の評価は、又後程 読み終わった後に入れさせて貰いますね。 (2015年7月20日 22時) (レス) id: 6d5cc17b20 (このIDを非表示/違反報告)
泉華(プロフ) - ボードの方に通知が来てると思うので、それを承認したらいいですよ！ (2015年7月16日 20時) (レス) id: 6f48f4605a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：snow | 作成日時：2015年4月18日 15時
