聞いてますか白石さん【鬼滅の刃】

白石さんが56人 ページ7

時透side






Aをそろそろ起こそうと思い
ゆさゆさと数回名前を呼んで揺すると
ムクリと起きあがり支度を始めるA。

サラサラの髪だなーとか、後ろ姿を眺めて
ぼんやり考えるけど、本当に寝癖一つつかないんだ。








『無一郎、日輪刀は』


｢ああ、こっちに置いてあるよ｣


『行けるよ』


｢行こっか｣







簡単な支度だけだった為
予想よりも早く終わり宿の人に一言
外出してくると伝えて玄関を出る。

鬼の気配は無いけど、もしもその旅人の女の人が
鬼だとしたらここを出たのか？

でも、ならどうして男児が消える。
そう考えたら出ていった可能性は薄い。

どこかにいると思うんだけど。








『あ』

｢どうしたの？｣









ピタリと止まって空を見上げるA。









『あっち行こう』


｢A？｣


『今向こうに行く人影が見えたよ』







僕の袖を引っ張って
人通りの少ない道に入っていくA。

人影や気配なんて僕には察知出来なかったのに
Aは観察眼が凄いというか、持ち前の才能と言うか。

凄いなあ、なんて呑気に思う。









｢A、揺れるけど少し我慢してね｣


『分かった』









Aが指さした方向にAを姫抱きにして
屋根に飛び映り走る。

A軽いなー、とか考えながら
今度ご飯屋さんに連れて行ってあげようと思う。
もう少し重くてもいいのに。









｢帰ったらご飯屋さん行こう。｣


『ご飯』


｢うん｣


『分かった』








何気ない会話をしていると一軒の家から悲鳴が
聞こえる。

女性、と…子供かな？
泣いてる声がする。








『無一郎、降りて』


｢わかった｣









屋根から着地すると三件先の方の家から
女性の高笑いも聞こえる。









『さよちゃんの声だ』


｢さっき言ってた子？｣


『行こう』









家に近づき家に入ろうとすると
何かが飛ばされた音がしてAを庇い
扉から即座に放れる。

次の瞬間には戸が吹き飛び女性の首が無惨に
転げ落ちてきた。









｢あらっ？まだ居たのね可愛い私の子が！｣


『鬼？』


｢あらあら、鬼だけど、貴方も私の可愛い子供でしょ？女の子はいいわぁ…貴方素直そうでとっても好きよ？｣



｢A、下がって｣









血塗れの女鬼はAを愛おしそうに見詰めながら
庇った僕を、言葉に表すなら本当に鬼の形相で睨み付けてくる。








｢男の子はいらないわよ｣


｢こっちも君みたいな親御面だよ｣

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