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「うーーーーーん……今日はきのこのデミグラスオムライスにしておきます」
「デザートとかは頼む?」
「お恥ずかしながら若干減量中なのでやめておきます……」
「うん、分かった」
そう言うと、流れるように呼び出しボタンを押して店員を呼んだ中村さんは、自分の分に加えてわたしの分まで注文をしてくれた。
「ありがとうございます中村さん」
「ん?なにが?」
彼にとってこれが日常的な事なのだろうか。
出されたおしぼりからお冷までサラッと全て先に渡してくれるし、メニュー表も鞄を置いたり上着を脱いでる間にそれぞれの目の前へと置かれていた。
気遣いが凄いなこの人……と、思わずしげしげと眺めてしまっていると、お冷をひと口飲んだ彼がその視線に気付いたのか、口を開く。
「なにかついてる?」
「…いえ、気遣い凄いなぁって少し思ってただけで.....」
「……褒めても何も出ないよ」
(あ、ちょっと恥ずかしそう)
照れを隠すように、コホンと咳をした彼は居心地の悪い話題から変えようと別の話を始めた。
「そういえば月白さんゲームやってるって言ってたけど、他にどんなやつやるの?」
「主にRPG系が多いですね…。最近だとテイルズのディスティニーと、FF12と、あとは基本FF11に定住を……」
「え、11やってるんだ。俺もやってるよ」
「ほんとですか?!初めて仲間と出会いました…!」
「珍しいね、女の子がやってるなんて。なんのジョブやってるの?」
「わたしはですね……」
相変わらず道中に引き続き、ゲームトーク……主にほぼFF11で盛り上がっていたわたしたち。
特にスクエニ関連のゲームはお互い溺愛していると言えるほどに好きだったのもあってか、道中とは比にならないほど盛り上がっていたと思う。
「お待たせ致しました。ハンバーグセットとデミグラスオムライスになります」
並べられた料理によって一度オタクトークは中止し、それぞれ頼んだ料理に視線が釘付けになる。
「月白さん、はい」
「あ、ありがとうございます」
料理と共に運ばれてきたカトラリーケースを差し出されたので、そこからフォークとスプーンを取り、彼の元へと返す。
それに続いて自分の分のカトラリーを並べ終わった彼と目を合わせてから、「いただきます」と手を合わせた。
まずはセットで付いてきたコーンスープにひと口つけてから、サラダを少し。
中村さんはサラダを黙々と食べているみたいだ。
「…もしかして月白さんも猫舌?」
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リクス(プロフ) - キュンキュンします、ありがとうございます (2023年1月28日 22時) (レス) @page19 id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豚汁 | 作成日時:2023年1月22日 7時