昔からずっと変わらない ページ1
.
岩本.
オーディションの日、やけに周りが俺の隣を見てヒソヒソ話していると思ったら、女の子がいた。
正直びっくりしたし、なんで？って疑問に思ったけどそのままオーディションは始まった。
周りの視線を気にせず、必死に食らいつく姿に俺はいつの間にか目が離せなくなっていて。
岩本｢...ねぇ｣
周央｢...っ？｣
オーディションが終わった後、リュックを背負って帰ろうとしている女の子が目に入って、思わず呼び止めた。
警戒するように目を伏せている女の子の小さな手にチョコレートを1つ乗せる。
岩本｢帰りに食べようと思ってたやつ。あげるよ｣
周央｢...？
あ、あの...。日本語、よく分からない......｣
岩本｢え？えっと、じゃあ......。ぷ、プレゼント、フォーユー｣
周央｢え...。ありがとう、ございます｣
チョコレートを見つめて嬉しそうにはにかんだ。
オーディション中はずっと表情が暗かったから、ふいに見せた笑顔にすぐ心を掴まれたような感覚がして。
これが一目惚れなんだろうな、って。
恋とかそういうのじゃなくて、憧れとかの方が近い気がする。
女の子の背中が見えなくなるまで見送っていたのを、今でもはっきり覚えている。
次の日にKATｰTUNのコンサートに出ることになって、Jr.の楽屋に入れば昨日の女の子もいて。
向こうも俺に気づいてくれたみたいで、控えめに手を振ってくれた。
岩本｢あ、そう言えば名前...。俺、岩本照です｣
周央｢名前？...あ、周央史那です｣
岩本｢史那ちゃんか...。よろしくね｣
周央｢よろしくお願いします｣
お母さんと最近日本語で話すようになったらしく、カタコトではあるけど何とかお互いに自己紹介ができた。
その後も、日本にいる間だけレッスンに参加しているふみと話すことが密かな楽しみになっていて。
岩本｢家族とか友達に何て呼ばれてる？｣
周央｢サナ、です｣
岩本｢サナ？｣
周央｢史那を、韓国の読み方にすると、さ、サナになります｣
岩本｢へぇ、そうなんだ...。
ふみ、とか呼んでもいい？｣
周央｢ふみ？｣
少し考え込んだ後、効果音がつきそうなくらい顔を輝かせてこっちを見つめてくる。
周央｢ふみ...！呼んでください！｣
岩本｢分かった(笑)｣
他のJr.は仏頂面とか言うけど、ふみのことを知ろうともしてないからそういうふうに言えるんだろうな。
ふみは意外と感情が顔に出やすいんだよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 432人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燦
| 作成日時：2022年8月6日 13時
