Dear my sister. (ページ15)

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渡辺side

渡「え？」

久々に聞いたその名前に思わず聞き返してしまった。

佐「A、翔太のナべ郎一時期めっちゃハマってたんだよね」

渡「まじか」

俺がナべ郎を演じたのは滝沢歌舞伎2017。
今から1年ちょっと前。
それを覚えていてもらってるのは、単純に嬉しい。

『ね、ナベ郎ほんと？ほんとのナベ郎？』

渡「そうだよ」

その一言にこれまたパァァとAちゃんの顔が明るくなる。
あ、これは、、

『ナベ郎やってー』

ほらやっぱり！！！！
絶対この流れだと思った！

佐「A、ちゃんとお願いってして」

『お願い、ナベ郎して？』

期待に満ちた眼差しが俺に向けられる。
佐久間もちゃっかりとAちゃんを撮るように手に持ってたであろうカメラを俺に向けてくる。

渡「……ｷｬﾝｷｬﾝｯ！ｷｬﾝ!」

『わんわん！わんわん！』

俺がナベ郎の鳴き声をあげると、Aちゃんも真似して犬の鳴き声をやってくれた。
その時、Aちゃんは佐久間の腕の中ではなく俺の前まで1人で移動していた。
向かい合って犬の鳴き真似をするのがおかしくてついつい笑ってしまう。

と、

深「はい、じゃあお時間でーす！」

ふっかの静止の声。

深「や、すごいね。翔太めっちゃ打ち解けたじゃん」

阿「本当にすごいよ。最後なんて佐久間の手離れて2人で見つめあってたじゃん」

岩「正直ちょっと予想外だったわ」

宮「犬って共通ワード出たのが大きかったね」

佐「Aが犬好きって答えた後の翔太の反応めっちゃ面白かったもん」

深「すごいこっちにアピールしてくるのね翔太」

渡「いやいやいやマジできた！と思って。
でもそっからナベ郎って言われた時はもっとまじか！ってなったもん」

阿「全部顔に出てたけどね。あ、あとさ俺1個だけ確認したいんだけど、」

佐「なになに？」

阿「これさ、名前を覚えてもらう企画じゃん。翔太は翔太って覚えてもらったの？ナベ郎になってない？」

渡「え、嘘でしょ？」

佐「あはははは！」

岩「やば笑絶対ナベ郎で覚えられてるよ翔太」

深「はい、答え合わせは最後にするとして、
次は俺か。いやーこれ次のハードル上がったなあー」

そう言いながらふっかがスタンバイの位置へ移動する。
俺はそれを横目にふっかの前にいるAちゃんに視線をズラす。

それに気づいたAちゃんは、ニコリと笑顔で手を振ってくれた。
どうかちゃんと名前覚えててくれ、そう願いながら俺は手を振り返した。