潜入 ページ21
イオside
暗い森の中。
イ「っはぁっ……。」
シンと静まり返った森に響くのは、私たちの、吐息だけ。
エマちゃんが先陣を切って走って行く、その後ろを私たちは追いかけた。
全力で走って走って息も絶え絶えだけど、先頭のエマちゃんは少しもそんな素振りを見せない。
今思ったけど…。
(エマちゃんて、速くない！？)
私たちと同じペースで走っているはずなのに、その後ろ姿は少しの疲れも感じさせなくて。
エマちゃんて、実はすごく足が速い人の子供だった、とかなのかなぁ。
そんな事をぼんやり考えていると、エマちゃんが走りながら叫んだ。
エ「約束っっ……」
瞬間、エマちゃんの手から無数の糸が編み出される。
エ「『皆、絶対に生き延びて！！！』」
驚く間もなく、それはエマちゃんの放たれた声と同時に私たちの薬指に巻き付いた。
巻き付いた糸はそれぞれ色が違ってて、私は白い糸、テオは黒い糸だ。
チトセ君は青い糸、カリンちゃんは緑の糸、エマちゃん自身は茶色の糸。
糸は緩く結ばれて、鮮やかに色を放っていた。
イ「っ！え、エマちゃん…っ！これ、はっ…？」
走りながら声を上げたからか、息が上がって上手く話せない。
でもエマちゃんは走りながらも、息を切らすことなく叫んだ。
エ「約束の糸…！何かあった時、それが少し役に立つと思う！」
そう言う彼女は、私たちより年が少ないはずなのに…なんだか随分年上に見えた。
あ「頼もしい事で何よりだねぇ…。」
隣でトットカ走るアランは、ホウキが無くても移動ができるはずだったのに…この森に足を踏み入れた瞬間地面に叩き落されたことが余程腹立たしいのか、さっきからずっと口をとがらせている。
『あの城から半径1キロ以内は、ホウキ・魔法での空中移動は出来ないの。
城の主が、それを許してないみたいだから。』
そう言ったエマちゃんの言葉を思い出し、片手でギュッと胸を握り締めた。
侵入者を絶対逃がさないための秘策だ、ってことぐらいバカな私でも分かる。
同時に感じたのは、途方もない怒り。
(フウカちゃんを、こんな狭い檻の中に閉じ込めておくわけにはいかない)
改めてそう決意して、顎を上げる。
ようやく、着いたらしい。
エ「…ここから先は、何があってもおかしくないから。逃げるなら今のうちだよ。」
エマちゃんが敢えてそう言って、皆に注意を促す。
皆の顔は不安そうに表情を歪める人が多かったけど…
誰一人、逃げようとする人はいなかった。
*
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カメレオン(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、元・爽のカメレオンです。一から呼んでいただいた上、暖かいコメントありがとうございます。実に恐縮です、作者自身あまり思うように書けてない時期もありましたので…… ご期待に添えられるよう更新も進められるように精一杯尽くさせて頂きます…！ (2021年11月9日 23時) (
レス) id: 59d3ccbf2f (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - はじめまして。幼馴染の約束シリーズから一気に拝見いたしました。構成やキャラ達の心情描写が細かくてすっごく好きです。更新してくださるのを待っております。 (2021年11月9日 22時) (レス) @page21 id: bf741dd95e (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - ♪稀小椎♪（mej）さん» まーちゃぁん泣大好きよっ久しぶりっっ！！ありがと全力で頑張るね！ (2020年9月21日 15時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪（mej）(プロフ) - お久しぶり？です。続き楽しみにしてるで〜 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - アミさん» あーりがとーっ！あーちんの想い、受け取ったっｷﾗﾘ (2020年8月13日 15時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時：2020年5月3日 18時
