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宮舘side
簡単には、動かないかもだけど話はしないとね。
俺はブランケットに潜る阿部に近づき、肩を叩く。
『阿部、出てきなよ。』
阿部「....」
阿部はブランケットからひょこっと顔を出した。
あれ、意外と素直..??
本当に体調が悪くて抵抗する力もないのかもしれない。
『阿部、俺も目黒と同意見だよ。休んだ方が良いよ』
阿部「..やだ。」
まあ、そう言うと思ってたけれど。
これ以上悪化してしまったら、もっと仕事に影響が出てしまうと思う。
だから、阿部のためにも休ませないと。
『..これ以上仕事延期になっちゃったら阿部、嫌でしょ?』
阿部「..や、だけど..」
『じゃあ、今出来る最善は..分かるよね?』
阿部「....」
俺の言葉に涙目になっていく阿部。
厳しいかもしれないけど、阿部に早く良くなってほしいからね。
目黒「..阿部ちゃん、今は休みましょ..?」
阿部「..わかった..。」
まだ不服そうだけど、なんとか納得してくれて、よかった。
目黒「俺、スタッフさんに阿部ちゃんのこと伝えてきます。」
「あと..体温計とか、持ってきます。」
『うん、お願い。』
目黒が楽屋を出ていくの見送り、阿部の方へ目線を向けると、
どこか一点を見つめるようにする阿部。
目黒がスタッフに話をしている間に、症状を聞いておこうか。
俺は阿部の目線に合うよう横にしゃがみこんだ。
『阿部、今、どこが辛い..?』
阿部「..からだ..だるくて..あたまも..痛い..」
『そっか..寒かったり、する?』
阿部「..ちょっと..だけ..」
『分かった。じゃあ、ブランケットもう一枚かけようか。』
俺は楽屋にあるブランケットを、取って阿部にかけた。
これで、暖かくなるといいんだけど。
ブランケットをかけた阿部はうとうとし始めていて。
..きっと、今から誰かが迎えに来るには時間が掛かってしまうだろうから、
今は阿部を寝かせとかなきゃな。
『阿部、今だけでも寝ときな。体、辛いだろうし..』
阿部「..うん..」
『じゃ、おやすみ。』
俺がそう言って、阿部のそばから移動しようと、その場から立ち、
後ろを向いた時、
阿部「..ねえ、舘さん..」
阿部の震えた声が聞こえた。
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作者名:みぞれ | 作成日時:2022年5月2日 22時