51●●○並んで ページ4
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「あれ? 征だよね、どうしたの」
その優しい声に、急いで閉じていた目を開ける。
「A……」
目があって、その瞳から溢れるAの魅力にあっという間に吸い込まれそうになった。
頬が熱くなり、鼓動が早くなる。
君と、一緒に星をみたい。
その一言を伝えるのに、ここまで緊張するとは。
「……なんか用かよ」
吉川がオレに気づくと、邪魔そうにそう言ってくる。
その横でAの白い喉が上下したのが目に入り、唾を飲むのがわかった。
オレはその様子を見て、改めてAと向き合った。
吉川に気を使ってどうする。
「その、今日も、晴れているな」
「うん……」
Aはその言葉をきいて少し驚いた顔をしたが、そう頷いてくれた。
前も、こう言って君を誘ったな。
「は? 晴れてないだろ、どう見ても」
「五月蝿い。お前は黙れ」
Aから視線を反らさずにそう言うと、吉川はため息をついて黙った。
Aはなにも言わずに、ただオレの方を見ている。きっとオレの言葉を待っているんだ。
オレは心を決めて口を開いた。
「……これから、一緒にあの公園に行かないか?」
少し冷たい風が髪を揺らし、目を丸くしたAの顔を少し隠した。
鼓動が更に早くなるのがわかる。
断られるのがこわい。
Aが吉川と帰る方を選んだら、オレは……。
「……ごめん」
……ああ、やっぱり。
「吉川くん。今日一緒に帰れない」
「え」
「行くよ、征! あの公園それなりに遠いんだからね!」
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ」
「待たない!」
Aはオレの手首をしっかりと握り、走り出した。
「A、なんで……」
「私も星が見たかった、って言えばいい?」
Aは振り向かずに走り続ける。
オレもその小さな背中を見ながら、その手に自分の手を握られながら走り続ける。
待ってくれ。そんなこと言われたら期待してしまう。嫌でも、吉川じゃなくてオレのほうが大切な存在なのではないかとか、都合よく考えてしまう。
「待ってくれ……A」
小さな小さな声で呟くと、Aは何?と立ち止まる。
すぐ近くにあるAの綺麗な笑顔。込み上げる熱い思いをこらえながら、オレはAの手を俺の手首からはがし、掌と掌を重ね合わせて握り直した。
とたんに赤く染まるAの顔を見て、やっと体の強ばりが取れてきた。
ドクドク鳴っていた心臓の音も落ち着いてくる。
オレとAは、並んで走り出した。
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古川陽香 - snowmanさん» なんかファンディスク3にlegalgenerationがありましたよ。 (2017年8月11日 11時) (レス) id: 183ffda10b (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 古川陽香さん» 凄いですね!アニメイトの先輩だ笑リーガルジェネレーション大好きです(≧▽≦) (2016年2月25日 21時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
古川陽香 - snowmanさん» 赤司君のCDもうアニメイトで買いました!はなまるぴっぴはよい子だけやリーガルジェネレーションも!今はトトコちゃんの今夜は最高やおそまつのクリアファイルやおそまつのメガネケースをゲットする予定です! (2016年2月25日 21時) (レス) id: 362e086b66 (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - ちかるたんたんめんさん» ありがとうございます(;つД`) (2015年10月19日 15時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
ちかるたんたんめん(プロフ) - 私も早く続きが見たいんで(^_-)-☆(笑) (2015年10月19日 15時) (レス) id: b199c19f9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:snowman | 作成日時:2015年5月6日 21時