48●●○いなければ ページ1
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気にくわないな、全て。
視界に入るもの全て。
情欲に溺れた瞳でAを見つめる吉川も、その目を見て言葉を返すAも。
何故あの時オレはキスしてしまったんだろう。
架かったかに見えた橋は、あっという間に壊れてしまった。
オレのせいで。
わかっているんだ。
……でも、やっぱり、Aが吉川と喋っているのを見るのは辛い。
こんなことになるなら、Aをマネージャーに誘わなければよかったかもしれない。
もしAがバスケ部にいなければ、吉川も入部しなかったし、オレの目の前で楽しそうに吉川と話すさまも見なくてすんだだろう。
今、オレとAは体育館の両端で、距離は遠くとも向かい合うような位置にいる。
目では指示を出すためにボールと選手たちを追うようにしているが、心はついAだけを追ってしまっていた。
時たまAが視界に入ると、胸に熱い気持ちが沸き上がってきて思考が停止したりして。
そのままファウルか何かで笛がなるまで我を忘れることも多いほどだ。
……だが、もしこうなる未来を知っていたら、オレはAが近くにいることを望まなかっただろうか。
「……じゃあ、オレもそろそろ出ようかな」
「おおっ! まじ!? 赤司こっちのチーム!?」
「ああ。……吉川は敵チームか」
ジャージを脱ぎ床に置くと、オレはコートの中に足を踏み入れた。
すると、キュッキュッという特有の音が近づいてきて、派手な蛍光色のデザインのバッシュが目の前で止まる。
それを見て、瞬時に誰が自分の前に立ったのかがわかった。
「勝たせてもらうからな」
「望むところだ。吉川」
いいや。Aが側に居ないなんて、そんなこと、やはりこのオレが望むはずが無いな。
現に、こうして同じ体育館にいて姿の確認が出来るだけでも、満足出来ていないのだから。
心も体も、常にオレの側にあってほしい。
そう願うくらい、Aはオレにとって、いつのまにかなくてはならない存在になっていた。
吉川さえ、いなければ……。
もくもくと湧き出ては胸に溜まり続ける、黒い感情を、オレは目の前の男を倒すことでどうにかしようとした。
この試合に勝ったら、Aとまた元のように話すことが出来ればいいのに。
せめて、そう、話せるだけでもいいんだ。
誰にも邪魔されずに……。
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古川陽香 - snowmanさん» なんかファンディスク3にlegalgenerationがありましたよ。 (2017年8月11日 11時) (レス) id: 183ffda10b (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - 古川陽香さん» 凄いですね!アニメイトの先輩だ笑リーガルジェネレーション大好きです(≧▽≦) (2016年2月25日 21時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
古川陽香 - snowmanさん» 赤司君のCDもうアニメイトで買いました!はなまるぴっぴはよい子だけやリーガルジェネレーションも!今はトトコちゃんの今夜は最高やおそまつのクリアファイルやおそまつのメガネケースをゲットする予定です! (2016年2月25日 21時) (レス) id: 362e086b66 (このIDを非表示/違反報告)
snowman(プロフ) - ちかるたんたんめんさん» ありがとうございます(;つД`) (2015年10月19日 15時) (レス) id: a3ebd09a9e (このIDを非表示/違反報告)
ちかるたんたんめん(プロフ) - 私も早く続きが見たいんで(^_-)-☆(笑) (2015年10月19日 15時) (レス) id: b199c19f9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:snowman | 作成日時:2015年5月6日 21時