03ｰ2 ページ7
「サボりめ」
キッ、と一瞥。
そんな私の表情を見ても尚、氷浦くんはきょとんとした顔を崩さない。
そんな間抜け顔をしててもやっぱり端正な顔してるから、余計に悔しかった。
何となく、彼が学校で人気がある理由が分かった気がする。気がするだけ。
顔が整ってるだけじゃない、
お人好しそうな性格に、この天然。
女子が黄色い声を上げるのも無理はない。
でも私はそんな多くの女子生徒の中の1人として彼に見られたくなかったし、私自身が嫌だと声を上げている。
そもそも、クラス委員の仕事を放ったらかして部活に飛んで行くような彼のことは好きになれない。むしろ苦手だ。
「え？サボりって？俺はちゃんと部へ顔を出したぞ？まあ、この雨だし。ミーティングして終わったとこ」
「サボりっていうのはそっちじゃないんだけど....」
はぁ、とまた一つ、小さなため息が出た。
でも、今まで確かに泣きそうだったはずなのに。
氷浦くんは「ん？違うのか？うーん」とかぶつぶつ唸りながら顎に手をやって考えるポーズを決めていた。
そんな彼を見てたら、私だけこんなになってるのが馬鹿らしくて、泣きそうな気持ちはすっかり引っ込んでしまった。
なんかこう、狂わされるな。
「氷浦くんのせいで、帰れなくなった」
だから、
とびきり面倒くさい女子になってやろう。
困れ。さあ、困ってしまえ。
案の定、氷浦くんはそんな私の意地悪を聞いてはおどおどと両手を空中で仰いでいる。
「で、どうしてくれるの？」
「えっと、その、そうだな.......
.......だったら、俺に出来ることなら何でもする ！」
「えっ」
おっとそうきたか。
予想もしなかったフレーズに、次は私が言葉に詰まる番になってしまったみたいだ。
「って、婆ちゃんが、困ってる女の子にはちゃんと助けてあげなねって言ってて。A、困ってたから手を差し伸べたくなって」
氷浦くんのお婆ちゃんは一体どんな人物なんだろう。
ここまで不器用なジェントルっぷりをまざまざと曝け出されても。
ていうか、何でもするって。
その発言先の相手が私じゃなくて貴方のファンだったらエラい目にあってたよ。
まあいいや。
彼のそんな天然にはつくづく驚かされるけど、今日はノッてあげよう。
「私の家着くまで傘入れてよ。氷浦くん」
「....！分かった」
ちょっとだけ驚いて、少しだけ頬を赤らめた氷浦くんを尻目に、今日はいつもより遠回りして帰ろうと心に決めた。
04 皇帝サマと、グルメ旅【野坂悠馬】→←03ｰ1 雨のち晴れ【氷浦貴利名】
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
