13ｰ1 月明かりの一等星【一星光】 ページ29
"月が綺麗ですね"
某有名文豪の言葉である。
その意味は、"I love you"
つまり"あなたを愛しています"
直接的に想いを伝えることに対して躊躇しやすい、日本人らしい遠回しな愛の言葉である。
でもそんなの、"月が綺麗ですね"だなんて訳されなくても仮にその方が"ご飯が美味しいですね"＝"I love you"としてたならそれはそれで世に広まってたと思うし、
有名人の言葉ってすごいなあと思う反面、怖いなあだなんて思う。
そこから、星が綺麗ですねだとか明日の月は綺麗ですねだとか、いろいろと派生していったけれども。
彼も、それらの言葉の意味を知っているのだろうか。
…かしこい彼のことだから知っているのだろう。
確かその日は、
星が静かに、綺麗に瞬く夜空だった。
鋭く光る三日月の光が、海辺に二つの影を映す。
「はい、Aさん」
「これは…？」
ぽん、と手に乗せられたのは風邪薬。
「Aさん、この頃体調が優れていませんよね。これ飲んで、早く風邪治してください」
「ありがとう」
にっこりと微笑む彼に、私もつられて笑顔になる。
この日はテーピングと冷却スプレーを切らしてしまって、このまま明日の練習でもし負傷者が出てしまったら対応できないと慌てて買い物へ走って行こうとしたら「こんな夜に女の子一人じゃ危ないですよ」と、一星くんに腕を掴まれた。
そこから彼についてきてもらい、無事に買い物を終えて、宿舎へと向かうところだった。
「ごめんね、一星くん。気を遣わせちゃって」
「いいえ、お気になさらず！」
こんなに気を配れる後輩、少なくとも私の周りでは一星くんだけだ。
「にしても」
「はい…？」
「疲れてない？無理、してない？皆にそんなに気を遣い過ぎて」
「これは俺がやりたくてやってるので、平気です」
「…私は、一星くんを見てると心配になるよ」
そう言うと、それきり彼は口を噤んでしまった。
波の音と、砂に沈む二人の足音だけが、
鮮明に流れる。
彼は彼で悩んでいるのだろうか。
チームに対して様々な卑劣なことをしてしまったこと。
それは指折り数えても指が足りなくなるほどの数で、現に鬼道さんと豪炎寺さんは未だ離脱したまま。
これが彼の考えた、彼なりの償いというものなの？
「そんなに気を張らなくていいよ」
「Aさんに、何がわかるんですか」
「…え？」
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
