欲深いのは悪魔か人間か３ (ページ29)

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「言ったでしょう・・・先輩
　僕は絶望しない
　僕は、先輩の期待には応えられません
　みんなが傷つくのも嫌だし、それに僕らの花火が使われるのも嫌だし
　この花火を・・・ちゃんと見てもらえないのも、嫌だ！
　・・・だから、全部拾いたいし、僕は全部を諦めない
　それに、姉さんの魔力を使った先輩のミスです」

入間が不敵に笑みを浮かべ、走り出す。

「さぁっ、いよいよ！本祭開始のカウントダウンだ！！残り３０秒！！」

「先輩！！どいてください！！」

「ちょお待て！そっちは・・・外！！
　まさかッ・・・阿呆なっ・・・」

入間が躊躇せずに窓から飛び降り、キリヲが焦る。

『いや、流石に疲れた』

ガラス板の中で平然とするAに、キリヲは舌打ちをして入間へと視線を戻す。

「届けッ、リ、ベーラ！！」

本来ある筈のない透明な天井にぶつかり止まる。

「せやから阿呆やて、言うたんや」

「残り１０秒!!」

「この日のために、”みんなの絶望の表情をみる”その瞬間のために
　長年かけて作った最高のバリアなんや・・・
　理事長(ｻﾘﾊﾞﾝ)並の魔力が無ければ、僕のバリアは破られへんわ！！」

「ごめん、おじいちゃん、約束破るね・・・
　【パン、ドルーラ】」

キリヲの助言に、入間は笑みを浮かべ最大出力で花火を打ち上げる。
あっけなく天井のバリアは砕け散り、障害がなくなった喜びか花火は更に加速する。

ドパァアンン

懐かしい爆発音が魔界に響く。

ついで、ドカンという爆発音が部屋に響きガブ子が粉砕する。

「なんやねん・・・あぁ～なんやねん、なんやねん！！
　あとちょっとやったやん！なんでや！
　みんな笑顔になってもうてるやん！！
　ほんで、あのえげつない魔力なんやねん！
　僕が長年溜めてきた魔力、何、破ってくれてんねん！！
　入間くんの・・・あんぽんたん！アホッ！！
　気持ちよさそうに寝よって、この！
　着地のこととか、考えてないんか！アホ！アホーッ！！
　なに、ほんまに全部拾っとんねん、阿呆ぅ・・・」

咄嗟にガラス板で入間を回収し、悔しそうにドンドンとガラスを殴り叫ぶキリヲ。